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光通信用平面光波回路の先駆的研究

 インターネット普及等による通信量の急激な増大や高度情報化社会における多様な新サービス需要に即応できる柔軟な通信網の構築を目指して、光アクセス方式、波長多重(WDM)伝送方式の実用化やホトニックネットワーキングの研究開発が進められている。光アクセス方式には多数の光分岐回路や光送受信回路が必要で、光ファイバを用いて個別に組み立てているとコストがかさむ。また、WDM伝送方式の目標は当初の4~8チャネルから16~32チャネルへと急速に高度化しており、波長フィルタには狭チャネル間隔や低クロストークなどの厳しい要求が課せられる。更に、強度の異なる複数の光信号を扱うホトニックネットワーキングでは、キーデバイスである光スイットに極めて高い消光比が必要とされる。こうした多様な光回路の実現手段として、平面型の光導波路の研究はそれまでも行われてきたが、実用レベルの性能を長い間達成できないでいた。

 河内正夫氏、岡本勝就氏、大森保治氏の三氏は、石英系の光導波路作製技術および光回路設計技術を確立し、この結果、高機能で経済的な平面光回路が初めて実用に供されることになった。ガスバーナ中で合成したガラス微粒子を吹きつけて石英系ガラス膜を作成する方法(火炎堆積法)を発明して10μm以上の分厚い高品質ガラス膜の形成に成功し、このガラス膜をサブミクロンの精度で微細加工する反応性イオンエッチング(RIE)技術と組み合わせ、生産性の高い光導波路作製法を確立した。これにより、極低損失(0.01dB/cm)かつ高均一(屈折率揺らぎ10-6以下)な単一モード光導波路を再現性良く製造できるようになった。また、スラブ導波路(横方向に自由に光が広がりかつ相互作用できる導波路)を用いた空間的な多光束干渉や、マッハツェンダ干渉計を多段に縦列接続した時間的な多光束干渉など、光波干渉の特性を駆使して各種の高機能光回路を実現するシミュレーション設計技術を確立した。

 これら平面光波回路の基本技術を確立したことにより、1×16光分岐回路や光送受信モジュール、チャネル間隔50GHzで64チャネルのアレー導波路格子型波長フィルタ(AWG:Arrayed Waveguide Grating)、クロストークー55dBの8×8マトリックス光スイッチなどの実用的な低コスト/高機能光回路を世界に先駆けて誕生させた。これらの成果は、1998年3月から導入された新光アクセスシステム(通称「πシステム」)に採用されるなど、既に我が国の光通信網で実用に供されている。

 以上のように、三氏らは、光通信網の大容量化および高機能化に対して非常に重要な光通信用平面光波回路に関する先駆的かつ独創的な研究を行い、国内外における光通信システムの研究開発の進展に大きく貢献した。また、これらの研究成果は光回路のハイブリッド集積技術や実装技術など新たな研究分野の牽引役にもなった。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1998年、河内正夫氏、岡本勝就氏、大森保治氏に業績賞を贈った。


文献

[1] 河内正夫、石英系プレーナ光波回路の研究動向、1995年、電子情報通信学会誌、Vol.78, No.9, pp.883-886
[2] 河内正夫、プレーナ光波回路デバイス、1998年、電子情報通信学会論文誌C、Vol.J81-C2, No.6, pp.513-523

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