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Sバンド移動体衛星通信システムの研究実用化

 静止衛星N-STARを用いたSバンド(2.6/2.5GHz)帯の国内移動体衛星通信システムが、1996年(平成8年)3月世界に先駆けてサービスを開始した。これまで、我が国の携帯・自動車電話サービスエリアは都市部、主要道路を中心として展開されており、山間・島しょ部などの地域を含めた面積率は50%程度であった。また、船舶電話は基地局が陸上沿岸にあるため、サービスエリアは海岸から50~100km程度に限られていた。このように限られたサービスエリアを経済的にかつ一挙に拡大する手段として、衛星通信はかねてより有望視されていた。

 萩原英二氏、山本浩治氏、中川一夫氏は、衛星通信を移動体サービスに適用することにより、サービスエリアの広域性、分散トラヒックの収束性という衛星通信の特徴を最大限に活用し、移動体通信のサービスエリアを、これまでの携帯・自動車電話及び船舶電話に比して飛躍的に拡大させた。

 三氏は、移動機の小型化と衛星の電力制限条件の中での加入者容量確保を目指して、衛星送信出力の低減を図るための信号処理・変復調技術、衛星電力の有効利用を図るためのマルチポート増幅器、および効率的にトラヒックを処理するためのデュアルモード回線制御技術、などの研究開発に取り組み、これらの成果を実用化に結びつけた。

 よく知られているように、衛星通信では、衛星の電力容量に限界があることから、加入者容量は使用帯域幅だけでなく無線機の消費電力に大きく依存する。またユーザの利便性の面からも、移動機の小型化は重要な課題である。このため、マルチビーム方式を実現し、アンテナの高利得化を図ると共に、音声ディジタル符号化にはディジタルセルラ方式でも採用されている最も低速なアルゴリズムである5.6kbit/s PSI-CELPを適用して、衛星システムと地上システムの符号化アルゴリズムの統一化に加えて所要送信出力の低減を図った。

 更に、三氏は、衛星の各ビームの出力増幅をすべての個別増幅部が均等に分担するマルチポートアンプを実現し、従来のビームごと個別増幅方式におけるようなトラヒックのアンバランスのための出力マージンを排し、衛星電力の有効利用を可能とした。

 また、回線制御方式としては、地上方式の電波が届く限り地上方式を、届かない場合のみ衛星方式を使用するデュアルモード回線制御を実現した。

 これらの技術を適用することにより、限られた容量ながら広域性を有する衛星方式と大容量な地上方式とで、多くのユーザが格段に広いエリアで移動通信を利用できるようになった。

 高いコストパフォーマンスでサービスエリアを拡大すると共に、Sバンドというこれまでの移動体衛星通信システムに比較して高い周波数を利用した移動体衛星通信システムを実現したことは、今後の同帯域の利用を計画しているグローバル衛星移動通信システム等にも大きな影響を与えるものと考えられる。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1997年、萩原英二氏、山本浩治氏、中川一夫氏に業績賞を贈った。

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キーワード

移動体衛星通信システム、Sバンド、携帯電話、衛星通信
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