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ミリ波技術に関する先駆的研究

 米山務氏のミリ波とのかかわりは、円形導波管ミリ波通信方式の開発が進行していた1960年代当初にさかのぼる。大学院学生として、円形導波管の研究に従事したことを契機に、ミリ波に興味をもち、以後、ランダム媒質中のミリ波伝搬の研究、ミリ波ビーム導波路の研究、オーバサイズHガイドの研究、NRDガイドの研究など一貫してミリ波に関連した研究に尽力してきた。周波数資源の枯渇が憂慮され、未開拓のミリ波電波の利用が注目されている現在、同氏の先見性が高く評価されるゆえんである。

 同氏のミリ波に関する研究成果のうち、何をおいても特筆すべきは、ライフワークとしてのNRDガイド(Nonradiative Dielectric Waveguide、非放射性誘電体経路)の発明とそれに続く開発研究であろう。通常、ミリ波伝送線路としては、マイクロストリップ線路やコプレーナ導波路などが使用されるが、伝送損が大きい。誘電体線路はミリ波帯で低損失であるが、線路の曲がりや不連続部で不要放射が発生し、伝送特性が劣化する。不要放射を制御するには、平行板導波路の導体板間隔を半波長以下にして遮断空間を形成し、その中に誘電体線路を構成すればよい。このようにして、曲がりや不連続部で不要放射の全くない誘電体線路ができる。これがNRDガイドである。NRDガイドは導体板間隔が狭いため、ややもすると伝送損が大きいと考えられがちであるが、実際は極めて低損失である。これは伝送波の電界が導体板に平行だからである。このことは、ミリ波円形導波管の研究で古くから知られていたが、NRDガイドもこの条件を満たし、誘電体線路の低損失性を保持している。

 同氏はNRDガイドの提案に引き続いて、各種のNRDガイド回路素子を開発し、更にそれらを組み合わせて60GHz帯で実用的なミリ波システムを実現した。例えば、ATM対応ミリ波送受信機は既に市販されており、ミリ波FM送受信機は数チャネルのテレビジョン画像の伝送が可能であり、ミリ波車載レーダは実用性が確認されている。また、同氏の提案になる、漏れ波NRDガイドを給電系に用いたミリ波平面アンテナは車載レーダ用アンテナとして期待されている。

 NRDガイドは諸外国でも注目されている。米国、イタリアではNRDガイド漏れ波アンテナの研究、カナダではNRDガイドアンテナとモードサプレサなどの回路素子の研究、ブラジルではNRDガイド非可逆回路の解析、中国では漏れ波アンテナ、フィルタ、サーキュレータなどの研究が進められている。

 NRDガイドは日本で生まれた独創的なミリ波回路技術である。単なる発明にとどまらず、同氏は長年にわたりその開発研究に携わり、NRDガイドを実用レベルまで発展させた。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1997年、米山務氏に業績賞を贈った

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1997
消費税の税率が引き上げられる。
1997
長野新幹線が開業する。

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キーワード

ミリ波、NRDガイド、その他(通信一般)
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