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シームレス音響環境を実現する高性能エコー消去方式の先駆的研究

 マルチメディア時代の音声通信サービスには、遠隔地とあたかも同一室内にいるように会話できるシームレスな音響環境を提供することが期待されている。しかし、伝送遅延や処理遅延の大きいインターネット用デスクトップ会議システムや、広い空間同士を通信回線で結び複数のスピーカやマイクロホンを用いる高臨場感通信システムにおいては、音声がエコーなどによってひずみやすい。このため、エコーやハウリングの要因を取り除くことが必要だが、従来のエコー消去方式では、マイクロホンや話者の位置が変化すると通信品質が劣化する、十分な再生レベルが得られない、離れた人の声が拾えない、相手の話者と同時に通話(ダブルトーク)すると声が途切れる等の問題があった。

 室内で生じるエコーを消去するためには、スピーカからマイクロホンに至る音の伝搬経路を推定するアルゴリズムの性能が重要である。牧野昭二氏、羽田陽一氏、小島順治氏の三氏は、音の減衰特性と音声の性質に着目することにより、従来に比べ4倍以上ものスピードで音の経路推定を行える新しいアルゴリズムを発明した。更に、ダブルトーク時に音の経路を推定できないためにエコー消去ができないという問題に対しては、ダブルトーク時でも直前の経路推定結果を用いてエコー消去を行う新しいエコー制御法を開発し、ダブルトーク時の性能を大幅に改善することに成功した。こうして開発された新しい高性能エコー消去方式により、通話を何ら妨げずに瞬時にエコー消去を行うことが可能となり、遠隔地とあたかも同一室内にいるように感じられるシームレスな音声通信環境を実現する上で大きな一歩を踏み出すこととなった。

 既に、これらの技術を用いた多地点テレビ会議システムや、室内型・デスクトップ型のテレビ音声会議装置などが実用化されており、従来に比べて飛躍的に向上しているその通話性能は市場ならびに利用者に大きなインパクトを与えた。更に、本研究は、伝送遅延や処理遅延が大きいためにエコー消去がより重要な課題となっているインターネット用のデスクトップ会議装置や、高精細画像と共に広帯域の音声を伝送する高臨場感通信を実現する上でも先導的役割を果たしている。

 以上のように、三氏は、シームレスな音響環境を実現する高性能エコー消去方式に関する先駆的かつ独創的な研究を行い、国内外の通信サービスにおける飛躍的な音声品質の向上に大きく貢献すると共に、マルチメディア通信の基盤技術の発展に著しく寄与した。また、これらの研究成果は、音響工学や信号処理技術といった分野においてもその研究を一気に加速させる牽引役となっている。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1997年、牧野昭二氏、羽田陽一氏、小島順治氏に業績賞を贈った。

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キーワード

エコー消去方式、ハウリング、エコー、通信会議、エコーキャンセラ、応用音響、ディジタル信号処理、テレビ会議
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