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公開鍵認証方式に関する研究

 情報ネットワークの進展・普及に伴い、情報のセキュリティを確保するため、通信の利用者やデータの正当性を確保する「認証技術」が重要となってきている。利用者の正当性確認とは、例えば、第三者が正当な利用者に成りすましていないかを調べることであり、データの正当性確認とは、例えば、データが改ざんされていないかを調べることである。

 これら認証技術としては、公開鍵暗号方式とよぶ新しい概念を適用したディジタル署名方式が代表的であり、1978年に発表されたRSA法や、米国商務省標準局(NIST)により、1991年に提案されたDSA法(Digital Signature Algorithm)等がある。これらは、共に、べき指数が数百けた程度の合同べき乗演算からなる計算を必要とし、このため、ディジタル署名の作成や署名検証等の処理速度が遅く、ICカードのプログラムや簡易端末装置での実現が難しいという欠点があった。

 このような状況の中で、岡本龍明氏、藤岡淳氏、太田和夫氏は、低次の合同多項不等式を用いることを特徴とする公開鍵認証方式の新しいアルゴリズム「ESIGN」を提案した。同氏らが提案したESIGNは、べき指数がたかだか10けた程度の合同べき乗演算の計算で済み、従来の技法と比較して計算量が大幅に少なくなる。

 RSA法をはじめとする従来のすべての公開鍵認証方式は、等式を基本に構成されている。しかし、ESIGNは、署名検証に不等式を用いるという全く独創的な発想に基づいて構成されている。署名の正当性を検証する公開鍵は、二つの素数をP、Qで表すと、P2×Qとして計算し公開する。この発想の独自性が、計算量の少ない低次の合同多項不等式による、画期的な公開鍵認証理論となって結実したものである。

 このような理由から、同氏らが提案した認証アルゴリズムのESIGNは、RAS法やDSA法に比べて数十倍の処理速度が容易に達成でき、世界で初めてICカードや簡易端末装置上で実用的な性能、すなわち、署名作成および署名検証のいずれも1秒以内、を可能にした。

 また、同氏らは、このようなディジタル署名で用いられる高速なハッシュ関数の設計法およびその具体的アルゴリズムを提案し、更に世界で初めてIDに基づく公開鍵系利用者認証方式/ディジタル署名方式およびその概念を提案した。

 以上述べたように、同氏らの一連の研究は、高度情報化社会において必須となる電子文書の改ざんの検出やディジタル署名を用いる電子決裁機能、ネットワークを介した相手確認などをICカードのプログラムや簡易端末装置を用いて簡便で安全に実現することを初めて可能にするものであり、今後の情報化社会の健全な発展に大きく寄与する。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1993年、岡本龍明氏、藤岡淳氏、太田和夫氏に業績賞を贈った。


文献

[1] T. Okamoto, K. Ohta and A. Fujioka、Abuse of Undeniable Signatures and Their Countermeasures、1991年、IEICE Transactions, Vol. E74, No.8, pp.2109-2113
[2] T. Okamoto, A. Fujioka and K. Ohta、Interactive Bi-proof Systems and Undeniable Signature Schemes、1992年、IEICE Transactions, Vol. E-75-D, No. 1, pp. 102-109
[3] 岡本龍明 太田和夫、理想的電子現金方式の一方法、1993年、信学論 (D-I) Vol. J76-D-I, No.6

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キーワード

公開鍵認証方式、ESIGN、合同多項不等式、情報セキュリティ
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