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TV信号の多次元処理とその応用に関する研究

 テレビジョン(TV)は将来の情報伝達の重要な役割を担っており、その高画質化、高能率伝送の重要性が高まっている。一方、TV信号は極めて広い周波数帯域を必要とするため、その効率的信号処理は技術者に課せられた大きな使命である。

 周知のように、TV信号は走査により1次元の信号になっているが、本来は、[水平-垂直]の2次元画像が、[時間]と共に変化する3次元信号である。従って、3次元領域で処理することにより、垂直や時間方向に隣接する画素との相関をも加味して、画像本来の性質を十分に活用する高度の信号処理が可能になる。これにより、周波数資源や情報そのものの高度活用が可能になる。

 吹抜敬彦氏は、この3次元領域におけるTV信号処理(信号の解析手法、標本化、変復調、ディジタルフィルタ、3次元特性測定方法など)の基礎的アルゴリズムを明らかにし体系化すると共に、その応用面の研究を推進してきた。もともと日本は、NHKをはじめとする関係機関の不断の努力により高精細なTVに高度な技術を有してきた。これらが相まって、TV画像を3次元周波数領域で解析する意識が広く研究開発者に認識されるようになり、TV信号処理や解析の手法が大きく発展した。

 最近注目を集めているIDTV(ImproveD TV)やEDTV(EnhanceD/Extended Definition TV)などの高画質TVも、その例である。すなわち、同氏の研究は、受信機側での信号の効率的な処理方式への展開を経て、現行のNTSC方式と両立性を保ちつつ高画質化を図る方式の基礎提案に発展した。

 これは、現在の方式の周波数スペクトルを3次元的に見ると、十分使われていない隙間(孔)があり、これに高画質化などのための情報を多重して上記を実現するというものである。

 TV方式の基本にかかわる本研究は、社会、技術の面でも、国内外に極めて大きな反響をよび、両立性のある次世代TV(ATV:Advanced TV)の検討を積極的に推進させることになった。日本において、本研究に基づく実験が開示され、郵政省主導のもとEDTV開発が始まった。

 米国では当時このような考え方はなかった。しかし、本研究とそれに続く日本の対処は、米国の次世代TVの方向を大きく変えたといえる。米国では、上記の孔をFukinuki Holeと名付け、これを基に次世代TV技術開発を鋭意推進中である。例えば、FCC(連邦通信委員会)のATV作業部会の調査書では、上記Holeは次世代TV実現のため利用可能な技術の一つとして記載されている。ちなみに現在米国でDSRC(David Sarnoff Res Ctr.(旧RCAプリンストン研))とNAP(North American Philips)で共同開発中の"ACTV"は、このHoleを利用するものである。

 このように、同氏は、いち早く独自の研究を進め、TV信号の3次元信号処理技術の展開ならびに体系化を行うと共に、両立性のある次世代TV方式の基礎的可能性を示し、国内外に大きなインパクトを与えた。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1990年、吹抜敬彦氏に業績賞を贈った。

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TV信号、3次元処理、画像処理
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