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衛星中継網方式の実用化

共通迂回の概念

図1 共通迂回の概念

衛星回線制御とその等価モデル

図2 衛星回線制御とその等価モデル

衛星中継網のシステム構成

図3 衛星中継網のシステム構成

衛星中継網のシステム諸元

図4 衛星中継網のシステム諸元

 我が国における衛星通信の公衆通信網への利用は、1983年に打ち上げられた、通信衛星2号(CS-2)から開始された。

 従来の公衆通信網で使用される衛星通信は、特定の2地点間に、伝送路を固定的に提供する機能しか有していなかった。このため、地上方式との経済比較では距離のみしか考慮されず、急速に経済化が進む地上方式に対し、衛星通信の適用は限定された領域に止まっていた。

 森広芳照氏、松本愼二氏、大貫雅史氏は、呼ごとに1ch単位で回線を設定・解放するデマンドアサイン衛星通信方式を地上交換網と連動して、一元的に運用することにより、トラヒック変動に対して柔軟に対応可能でかつ高信頼なネットワークが、経済的に構築できることを明らかにした。更に、この考え方を実現した衛星中継網方式(DYANET:DYnamic channel Assigning and routing satellite aided digital NETworks)の実用化において中心的な役割を果たし、新しいネットワークの構築に多大の貢献をした。

 公衆通信網のような大規模ネットワークにおけるトラヒックは、一般に、①隣接都市間のような、比較的狭い領域に集中し時間的変動が小さい部分と、②広域に分散しかつその時間的変動が大きい部分、とで構成される。①のようなトラヒックには、地上方式の適用が経済的に有利である。一方、②では多数の通信区間が広域に分散することから、地上方式では地理的制約の克服が課題となるが、衛星通信を用いれば地理的条件と無関係に、空間的にトラヒックを集束することが可能である。また、一つの衛星チャネルを複数の通信区間で共用し、必要な区間にその都度衛星チャネルを割り当てて使用することにより、時間的にトラヒックを集束可能である。

 このような両者の特性を利用して、公衆網トラヒックを、時間変動の小さい部分は地上方式で、また時間変動が大きく、広域に分散した部分は衛星通信で疎通させることにより、経済的かつトラヒック変動に対し柔軟なネットワークが実現できる。

 DYANETでは、地上中継交換機にて地上回線を優先的に使用し、これが全部使用中の場合、衛星回線に呼をう回させる。このう回呼のトラヒック特性は、大きな変動を有するものとなる。衛星回線を多数の異なる通信区間のう回中継回線として共有に利用していることから、これを共通う回中継と名付けている。

 本方式実現のために、①衛星中継網を、全国をカバーする一つの中継交換機と等価なシステムに見せることによって、地上交換網および共通線信号網に円滑に組み込み、呼を衛星回線へう回させる技術、②衛星回線を設定すべき着側地球局として、着端末に最も近い地球局を選択する最遠端るーちんぐ技術、③発着両地球間に呼ごとに1ch単位で衛星回線を設定するデマンドアサイン制御技術、④経済的かつ高信頼な地球局構成技術などの要素技術、を実用化した。

 以上のように、衛星中継網方式の実用化は今後の衛星通信の発展のみならず、公衆通信網の構成法に革命的な進歩をもたらすものである。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1992年、森広芳照氏、松本愼二氏、大貫雅史氏に業績賞を贈った。


文献

[1] 森広芳照、加藤修三、大貫雅史、衛星中継網方式-DYANET-、1991年、電子情報通信学会誌、vol.74, no.5, pp.439-456, 1991
[2] M. Ohnuki, M. Umehira, H. Nakashima, S. Kato、A New Satellite Communication System Integrated into Public Switched Networks-DYANET、1992年、IEEE J-SAC, vol.10, no.2, February
[3] 大貫雅史、中島 裕、新しい衛星回線制御技術 DYANET、1990年、NTT技術ジャーナル、1990年3月
[4] Y. Morihiro, S. Okasaka, H. Nakashima, M.Ohnuki、A Dynamic Channel Assigning and Routing Satellite Aided Digital Networks - DYANET、1987年、GLOBECOM '87, pp.349-353.
[5] M. Ohnuki, K. Nagayama, Y. Inada、DYANET Satellite Communication Transit Switching System、1990年、NTT REVIEW, vol.2, no.3, May

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キーワード

衛星中継方式、DYANET、衛星通信
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