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知的画像符号化の提唱とその先駆的研究

 テレビ電話では、同じ顔画像を毎フレーム符号化して送っている。情報圧縮を行う場合も、基本的には同じである。しかし、考えてみれば、顔の形や特徴に関する情報は、最初の1枚のフレームにほとんど含まれているはずである。従って、その情報を知識として送信側と受信側で共有しておけば、以降のフレームでは、その顔がどちらを向いたとか、表情がどう変ったかという情報だけを送れば十分ではないだろうか。

 あるいは、映像と共に音声も送られている場合は、口の動きや関連する表情を、音声だけから合成できるのではないか。更には、この技術を使えば、合成された顔を通じて、テレビ電話の感覚で、コンピュータと情報のやりとりができるようになるのではないか。

 このような技術は、恐らく多くの研究者、技術者が漠然と夢みていたに違いない。しかし、それは文字どおり夢物語であった。少なくとも1980年代なかばに、原島博氏、相澤清晴氏、森島繁生氏らのグループが「知的画像符号化」の構想を示し、精力的な研究を開始するまでは。

 知的画像符号化では、送信側と受信側が符号化すべき対象に関する知識を共有し、かつ画像の意味内容に立ち入って符号化を行う。符号化対象のモデルに基づいて画像の分析と合成を行うので、モデルベース画像符号化(model-based image coding)あるいは分析合成画像符号化とよばれることもある。最近では国内外の多くの機関で研究が進められており、関連の国際会議では独立したセッションが設けられて活発な議論が行われている。

 知的画像符号化は、従来それぞれの分野で独立して発展してきた「画像処理、パターン認識・理解技術」と「コンピュータグラフィックス・アニメーション技術」、更には「人工知能・知識処理技術」を、通信固有の「符号化技術」を通じて統合しようとする画期的な試みである。

 実際、同氏らの研究成果は、国内外の画像符号化研究のみならず、情報理論、画像処理、コンピュータグラフィックス、更には心理学に至る広い領域にわたって強い影響を与えた。例えば、顔面表情の分析と合成に関する研究(写真参照)は、心理学者の強い関心をよぶところとなり、情報学と心理学が融合した新しい「顔面表情学」更には「感性コミュニケーション学」が誕生しようとしている。

 このように情報通信技術の新たな地平を切り拓くと共に、学際的な新分野が開拓された。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1992年、原島博氏、相澤清晴氏、森島繁生氏に業績賞を贈った。

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