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8kbps狭帯域ディジタル携帯無線機の実用化

 移動無線は、有限の資源である電波の利用が不可欠な通信メディアである。近年の急速な移動無線分野の発展に伴い、移動無線用電波は極めて不足している。このため、更に移動無線を発展させていくためには、新たな電波資源の開発と共に、電波資源の有効利用技術の開発が極めて重要となっている。

 一方、通信の秘密確保、効率的なデータ伝送等のニーズにこたえるため、ディジタル移動無線の必要性は極めて強いものがある。

 現在実用化しているディジタル移動無線システムは、1980年代はじめ(昭和50年代末)から1980年代末(昭和60年代はじめ)にかけて開発・整備された第一世代のシステムであり、当然緊急を要した重要通信の傍受妨害対策に多大の成果を上げ、ディジタル化の効果を立証した。

 しかし、当時の音声コーデックの技術レベルから、アナログFM方式に置換し得る音質のディジタル移動無線システムは、送信速度16kbps、無線チャネル間隔25kHzを必要とし、現行の狭帯域アナログFM方式と比べ2倍の周波数帯域幅を必要とした。この点が、ディジタル移動無線を導入していく際の最大の障害となっており、電波利用効率面でアナログFM方式に匹敵するシステムの実現が強く待望されていた。

 1986年に改正された無線設備規則では、特例として認められた無線局以外の無線設備は、変調信号の送信速度は8kbps以下、チャネル間隔は12.5kHz以下と規定されている。この規格を満足する無線設備を実現するためには、新たなコーデックの開発を必要とした。

 すなわち、コーデックは、
 ①誤り訂正用ビット等を含んで8kbps以下であること、
 ②移動無線特有のフェージングにより10-2以上に及ぶビット誤り率でも良好な音質を確保すること、
 ③小型・低消費電力であること、
 等、技術的に極めて困難な条件を満足しなければならなかった。

 唐澤孝樹氏、村田栄一郎氏、一ノ瀬友次氏は、これらの課題に対して果敢に挑戦し、小型・計量で、電波利用効率とサービスエリアはアナログFM方式と同等であり、誤り率特性と音質は現行の16kbpsのディジタル移動無線システムと同等以上の、優れた特性を持つ携帯無線機の開発に成功した。

 この技術は、世界の技術水準を凌駕する先駆的なものであり、この実用化により、ディジタル移動無線システムは第二世代へ移行したといえる。

 警察庁では、1990年(平成2年)度から、この8kbps狭帯域ディジタル携帯無線機を、警察署を中心とする第一線警察活動用の携帯無線通信システムとして、整備を始めている。

 この実用化は、移動無線分野の進歩と業務用移動無線の本格的ディジタル化に寄与するところが極めて大きい。

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、1991年、唐澤孝樹、村田英一、一ノ瀬友次に電子情報通信学会業績賞を贈った。

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キーワード

ディジタル移動無線システム、携帯無線機、無線通信システム
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