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HDTV(ハイビジョン)の規格化、実用化

 ハイビジョンは、日本で研究開発が始められて既に20年近くになった。ハイビジョン放送が実用化に入る前に、日本のハイビジョン規格が国際規格として承認されることが絶対的な必要条件である。

 放送メディアの規格は、一般的に二つある。一つは、放送システムの基本パラメータを決めるものであって、同時に放送局等において番組を制作するための番組制作機器、カメラ、VTR等の基本パラメータを決めるものである。これを、スタジオ規格、あるいは番組制作規格と称している。他の一つは、スタジオ規格で定められた信号を変調して放送し、受信機でスタジオの画像や音声を再現するための規格であり、これを放送規格とよんでいる。

 放送規格は、国によって電波事情が異なるので、世界統一規格を実現するのは至難のことであるし、またその必要性も大きくない。しかし、スタジオ規格はシステムの基本パラメータであり、これを国際的に統一することは、将来の国際番組交換、カメラ、VTR等の仕様統一等を可能にするために不可欠の条件である。

 我が国は、このような思想に基づいて、1,125TV本、60フィールド、2:1飛び越し走査、16:9アスペクト比を基本パラメータとするHDTV方式(ハイビジョン)を研究開発し、これを今後のHDTV世界統一スタジオ規格とするべく、1974年からCCIRに提案してきた。一方、ヨーロッパは、日本のHDTV規格を世界統一規格にすることは、将来HDTVの放送機器分野、民生電子機器分野で日本のリーダーシップを許すことになると考えて、ヨーロッパ独自のスタジオ規格(1,250TV本、50フィールド、1:1順次走査、16:9アスペクト比)をCCIRに提案した。

 1986年第16回CCIR総会にて、日本のハイビジョンを世界統一HDTVスタジオ規格にしようとする日、米、カナダの勧告提案は、EC諸国を中心とするヨーロッパ側の賛成が得られず、成立しなかった。その後4年間、日本は、ハイビジョンを実用化することに努力し、同時に多くのCCIR会議においてハイビジョン方式の技術的完成度の高いことを主張すると共に、ヨーロッパ側と共存の道を見いだす努力を続けた。

 1990年に開催された第17回CCIR総会にて、日本のハイビジョン規格、ヨーロッパの提案規格を共に国際規格として認めるHDTVスタジオ規格に関する勧告がなされた。これによってハイビジョンが国際規格として正式に認められ、日本はこれのガット協定に基づき各国への通知を行った。

 そうして、本年3月ようやく、郵政省の省令により、電波法施行規則、無線設備規則がハイビジョン関連の条項を付加した。これによって、日本はハイビジョン実用化の時代を迎えた。

 この間、榊原盛吉氏は日本国内のコンセンサスを得て、CCIR日本派遣団の団長として多くの国と折衝してハイビジョンの勧告化の実現に努力した。

 杉本昌穂氏は、国内のハイビジョンの研究開発を責任者として指導すると共に、ハイビジョン勧告のために多くの国と交渉して成功に導いた。

 田所康氏は、HDTVの実質的な審議機関であるCCIR中間作業部会IWP11/6の議長として、ハイビジョンの勧告化に多大の努力をした。

 以上のように、3氏はハイビジョンの規格化、実用化について、国内の研究開発、海外での各国との交渉に務め、日本でハイビジョン放送を実現させるに至った。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1991年、榊原盛吉氏、杉本昌穂氏、田所康氏に業績賞を贈った。

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