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磁気記録と画像通信における符号化方式の研究

 画像情報の符号化方式の研究は、通信メディアおよび記録媒体を用いたディジタル蓄積メディアを中心として活発に進められており、更に放送メディアを含めた融合に関する問題へと展開しつつある。これまで独立と考えられていた蓄積メディアと通信・放送メディアの融合は、広帯域ISDNの進展とあいまって高度な情報通信システムを構築する主要な技術的課題の一つであり、新たな符号化方式等の開発が強く要望されている。

 富永英義氏は、各種メディアの技術的な融合についていち早くその必然性を提言しており、ディジタル磁気記録における変調方式と伝送符号に関し、一連の法則を導き体系づけ、画像通信技術への具体的な応用手法を提示すると共に、ディジタルマルチメディアに対する符号化方式の提案と国際標準化のための体系化に関し、多大な尽力をしている。

 同氏は、情報列に対して、微分および積分操作、ならびにこれらの操作によって関連づけられる同族符号を定義し、磁気記録における各種符号と伝送符号とが、一連の法則のもとで理論的に関係づけられることを示した。この研究の成果は、セルフクロックに適した磁気記録の変調方式を導く基礎となっており、我が国の電子交換機で実用化されている。また同氏は、伝送符号における信号波形と、磁気記録における磁化パターンとは同一の性質を持っていることに着目し、伝送符号を磁石の配列の表現で還元することで新たな多値レベル符号を提案し、2進符号との関係を系統づけた。

 情報列に対する1次元符号の同族関係は2次元に拡張され、新たなファクシミリ符号化方式の提案に結びついている。これは、原画像の画素とそれらの境界線の曲がり角の点とが同族関係であることに着目した成果であり、同氏が他に先駆けて提案した境界線追跡符号化方式の一実現例として位置づけられる。境界線追跡符号は、その符号量が図形の解像度に対して比例関係で押えられるという特徴を持つばかりでなく、文字図形の切出しならびにそれらの編集に適するという特徴を有している。すなわち、同氏の類いまれなる発想力は、ファクシミリ符号の原点を築いたにとどまらず、来るべき文書通信サービスの根幹を担う技術分野を先導する結果となった。

 また同氏は、境界線追跡符号の提案に至った思想を動画像の符号化にも取り入れ、新たな画像符号化方式を提案した。この符号化方式は、フレーム間の差分を複数の階層に分割し、各階層で得られた境界線情報を符号化するものであり、動画像符号化に関する研究の方向づけを与えるものとなった。ここで築かれた研究成果は、伝送符号のみならず、蓄積メディアに対する符号化方式に受け継がれており、ディジタルマルチメディアの符号化体系を築き、また広帯域通信網の研究の端緒を開く上で先駆的な役割を果たした。

 更に同氏は、通信と放送メディアの技術的な融合についての問題意識から、放送メディアに暗号技術を取り入れて会話型の通信方式を実現する提案を行った先駆者でもある。ここで提案された画像情報の暗号方式は、同氏がコンシールド・イメージ・トランスミッションと命名した、機密保護ならびに認証を実現する新たな画像符号化方式を提案する基礎となっており、ファクシミリ通信方式の研究に新局面を与えた。

 以上のとおり、同氏の一連の研究は、マルチメディア符号化の分野で先導的な役割を果たしたに留まらず、広く情報通信システムの進歩にも大きく寄与した。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1990年、富永英義氏に業績賞を贈った。

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画像符号化方式、磁気記録、その他(通信一般)
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