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画像のベクトル量子化手法の開発

最適な二次元空間分割

図1 最適な二次元空間分割

ベクトル量子化信号の再生波形

図2 ベクトル量子化信号の再生波形

原画(SIDBAのGirl)とベクトル量子化図

図3 原画(SIDBAのGirl)とベクトル量子化図

 ISDNの登場に伴って画像のディジタル通信は世界的に本格化しつつあり、一部では既にサービスも開始され始めている。

 画像通信における大きな問題点は、音声通信に比べてその必要伝送帯域がはるかに広がることであり、しかもディジタル化により更に帯域が広がることは周知のとおりである。このために、古くからデータ圧縮技術として予測符号化や直交変換符号化などが提唱され、現在ではかなり洗練された手法として評価を受けている。

 ベクトル量子化に関する研究は、開始されてからわずか10数年の歴史しかなく、まだ荒けずりな技術内容ながら、理論限界に漸近するデータ圧縮機能を備えていることから、早くも予測符号化や直交変換符号化に優るとも劣らない高能率符号化手法として大きな期待を集めるに至っている。

 田崎三郎氏、村上篤道氏、斎藤隆弘氏の三氏は、画像情報に対するベクトル量子化手法について基礎、応用、実用化の面からそれぞれ異なるアプローチにおける研究開発を行っている。

 田崎三郎氏は、1977年に"ベクトル量子化"なる術語を山田芳郎氏と共に命名し、同時に世界に先駆けて画像情報に対するベクトル量子化手法の適用を提唱した。以後国内外において、この分野における基礎研究の先頭に常に立っている。また、現在ベクトル量子化の開発研究は低ビットレートにおける適用範囲が大半であるが、空間分割の構造を明確化することでHDTVのような信号の高ビットレート伝送にも適用が可能であることを明らかにしている。このように、同氏の視点は将来を見据えた基礎研究の推進にある。

 村上篤道氏は、平均値分離正規化処理を導入することで汎用性のあるベクトル量子化器を構築することを試み、また実時間処理を可能とする量子化アルゴリズムを開発している。更に、超低ビットレートでもってカラー動画像を電話回線で伝送するシステムの開発にも成功している。このように、同氏は応用と実用化を目的とした研究開発を行っている。

 斎藤隆弘氏は、球対称分布を対象とするGain/Shapeベクトル量子化器を用いて、直交変換や特異値展開領域で高能率に量子化する符号化方式を提案した。最近は、次世代のマルチメディア画像通信を支える高度な画像圧縮技術を指向して、ベクトル量子化に自己組織機構を導入する新しい試みを行っている。このように、同氏は基礎と実用化を結ぶ観点からの研究開発を推進している。

 以上に述べたように、三氏のアプローチはそれぞれ異なるが、ベクトル量子化手法が画像情報の伝送および処理に極めて有効であることを国内外に強く主張することで、我が国の画像のベクトル量子化手法の研究開発が世界のトップランナーとして位置付けされていることに大きな貢献をした。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1989年、田崎三郎氏、村上篤道氏、斎藤隆弘氏に業績賞を贈った。


文献

[1] 山田芳郎、田崎三郎、ベクトル量子化法、1977年、1977電気関係学会四国支部連合大会、4-1 (1977, 10)
[2] Yoshio Yamada, Saburo Tazaki、A Proposal on Vector Quantizing Method (Japanese)、1977年、1977 Joint Convention Record of Shikoku Section related to Electrical and Electronic Engineering, Japan
[3] S. Tazaki, Y. Yamada, Robert M. Gray、Evaluation of Two-dimensional Quantization、1978年、1978 International Conference on Digital Signal Processing (Florence), pp.117-121
[4] 田崎三郎、山田芳郎、ベクトル量子化、1984年、電子通信学会誌、vol.67, no.5, pp.532-536 (1984-05)
[5] Saburo Tazaki, Yoshio Yamada、Vector Quantization (Japanese)、1984年、Journal of the Institute of Electronics and Communication Engineers, vol.67, no.5, pp.532-536 (1984-05)
[6] 山田芳郎、田崎三郎、逐次近似ベクトル量子化手法に基づく可変密度標本化、1987年、1987画像符号化シンポジウム、1-1
[7] Yoshio Yamada, Saburo Tazaki、Variable rate sampling based on Successive approximation vector quantization (Japanese)、1987年、19871Picture Coding Symposium in Japan (PCSJ87), 1-1

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