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テレビジョン同期放送方式の開発・実用化

 中継放送局を含めて現在13,000局以上が置局されているが、使用できるチャネル数は有限であるため、サービスエリアの端では、近接する放送局からの同一チャネル混信妨害を受けることがある。この妨害を軽減させるため、三つのオフセット周波数を用いる方式により、近接する3局までは同一チャネルの繰り返し利用を図っている。しかし、現在置局されている中継放送局は、いずれかの局とオフセット関係にあるといっても過言でないほど広く利用されているため、新たなチャネルの割当てが困難な地域が発生してきている。

 同期放送方式は、混信妨害を生ずる恐れのある2局の搬送波周波数を正確に合せることによって、近接する地域で、オフセットキャリヤ方式のごとく3局に制限されずに、同一チャネルの繰り返し利用が可能となる。そこで、「テレビ同期放送技術調査研究会」(委員長 羽鳥光俊東京大学教授)(参加期間:郵政省、NHK、民間放送、日本電子機械工業会)において、1982~1986年度に技術的検討が実施された。石川嘉彦氏、長妻忠雄氏、高山享氏の三氏は、この同期放送技術の開発およびその実用化において、中心的役割を果たした。

 同期放送導入の技術的じょうけんを得るため、実態に即した混信妨害を模擬するシミュレータを開発すると共に、妨害評価用の標準画像を新たに作成し、画質評価実験を実施した。その結果、受信点での映像搬送波の周波数差および位相変動を、各々0.2Hz、20度rms以内に抑えることにより、同期放送方式を現行の精密オフセットキャリヤ方式と同程度の混信保護比によって導入可能であることを明らかにした。

 受信波の位相変動測定から、そのパワースペクトルが周波数の2乗に反比例して減衰する特性を持つこと、強風時には位相変動が更に増加するが、この原因は送受信アンテナの揺れによることを明らかにした。なお、中継放送局アンテナの揺れの周期および振幅測定から、受信画質に及ぼす影響は少ないこと、遠距離伝搬による位相変動の増加は、見通し内伝搬であれば問題ないことを確認した。

 周波数の許容偏差は、現行の精密オフセットキャリヤ方式より1けた以上厳しくなるが、これはルビジウム原子発振器を用いる方式、および適切な参照信号を基準とする周波数同期方式により実現した。なお後者の方式では、受信した参照信号の位相変動を軽減する位相安定化技術を開発して、受信点での位相変動を上記の許容範囲内に収めることを可能にした。

 室内実験で得られた結果を検証するため、同期放送実験局を開設して約3年間にわたり野外実験を行った。その結果、室内実験で得られた技術的条件を満足する周波数同期技術が、-10~45°Cの周囲温度で運用可能であることを実証した。また、実際に放送されている動画の放送波を利用した画質評価実験から、室内実験で得られた混信保護比の妥当性を立証した。更に、既設放送局に近接して同期放送局を新設する場合を想定したケーススタディを行い、実用化への実現的な見通しを得た。

 上述のごとく技術課題を解決し、1987年(昭和62年)7月から同期放送方式が実用化されるに至った。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1988年、石川嘉彦氏、長妻忠雄氏、高山享氏に業績賞を贈った。

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