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高性能VLSIプロセッサの実用化

DIPS VLSIプロセッサのシステム構成イメージ

図1 DIPS VLSIプロセッサのシステム構成イメージ

カスタムVLSI設計フロー

図2 カスタムVLSI設計フロー

 INSにおいて豊富な新サービスを提供するためには網の処理機能のインテリジェント化が必要であり、網内に多数のプロセッサが必要となる。従って、INS網を経済的に実現するためにはVLSI技術を活用して、プロセッサの小型、経済化を実現する必要がある。高集積論理VLSIを用いたVLSIプロセッサの実用化に当っては、最先端VLSI技術からカスタム論理VLSI設計技術およびVLSIの効果を十二分に生かした高性能なVLSIプロセッサ構成技術など部品から方式に至る幅広い技術確立が必要であった。

 酒井保良氏、須藤常太氏、山田喬彦氏は高性能VLSIプロセッサの実現に必要となった諸技術の確立、その実用化において中心的役割を果たした。

 従来、VLSI化に適した素子として、NMOS、CMOSの対比を中心に種々の比較検討が行われていたが、早期に高集積カスタム論理VLSIの素子技術としてCMOSの優位性を明かにし、ゲート長2μmの微細CMOSのトランジスタ構造、アルミ2層配線構造を考案するなど、最先端のCMOS 2μmプロセス技術を確立し、これを用いて先駆的に32ビットVLSIプロセッサを実現し、今日のCMOS VLSI発展への道筋をつけた。また、VLSIを搭載する208ピンの多ピンパッケージを開発し、今日の多ピンパッケージの動向に先鞭をつけた。更に、論理VLSIの設計に当っては、チップ上への論理回路の高密度化、設計工数の削減が課題であったが、トップダウン自動設計法に適した高性能CMOS標準セルの設計基準の確立、論理ブロック多階層化と一括配線法による高密度自動レイアウト手法を確立し、従来の設計法では実現できなかった高密度化、設計期間の短縮を可能とした。

 プロセッサ技術としては、プロセッサ間を相互に結合するバスの使用効率向上を可能とするパケット型通信制御技術の考案による、機能分散と負荷分散を併用した分散制御技術を駆使したプロセッサ構成技術、通信制御の並列処理性に着目し、データフロー制御の概念を導入した経済的な高性能通信制御技術の確立により、高性能処理系を経済的に実現可能とした。

 これらの技術をもとに、最先端のカスタム化CMOS論理VLSI(6品種)を開発し、交換処理用、情報処理用の、小型で経済性に優れた高性能VLSIプロセッサを実用化した。

 本実用化の成果に基づき実用化された、交換用VLSIプロセッサは、INSの中核となるD70ディジタル交換機をはじめ、各種交換、通信処理システムの経済化、新サービス提供の容易化に貢献している。また、情報用VLSIプロセッサは、データ通信システムの分散処理化、ネットワーク化の推進に大きく貢献している。

 以上のように、本実用化はINSの基盤確立に大きく貢献すると共に、これにより確立した諸技術は、関連分野の技術向上に多大の貢献をしている。

 この技術に対して、電子通信学会は、1986年、酒井保良氏、須藤常太氏、山田喬彦氏に業績賞を贈った。


文献

[1] 酒井保良、平松琢弥、武井安彦、福村好美、DIPS VLSIプロセッサの実用化、1984年、電気通信研究所研究実用化報告(研実報)、Vol.33, No.1, pp.1-15, 1984
[2] S. Horiguchi, H. Yoshimura, K. Sakai and T. Sudo、An automatically Designed 32bit CMOS VLSI Processor、1982年、ISSCC Dig. Tech. Papers, p.54, 1982

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キーワード

VLSIプロセッサ、VLSI設計技術
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