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指紋自動識別方式の実用化

 このシステムは、これまで人手によって行っていた指紋の識別をパターン認識技術と画像処理技術を応用し、電子計算機を用いることによって自動的に行うことのできる画期的なものである。

 指紋は、万人不同・終生不変といわれており、個人の同定に非常に有効である。しかしながら、指紋は指先の柔らかい皮膚上に形成された紋様のため、物体の表面に残った指紋印象は、押し具合によって、かなり変形している。そのため、特徴点を単に座標化し対照するだけでは完全な照合とならないので電子計算機による処理は困難な現状にあった。

 伊藤達磨氏、河嶋操氏、木地和夫氏らは、同一人の指紋であれば、指紋印象が見た目には異なるものと思われる場合でも、特徴点間の隆線の数は印象ごとに変化しないことに着目し、指紋特徴点の座標を修正する手法を確立した。こうして、犯罪現場に残っているひずみの大きな遺留指紋でも、電子計算機によって自動識別することが可能となった。

 実用化したシステムは、入力サブシステムと照合サブシステムとから構成される。入力サブシステムは、カード上にインクで押捺された指紋(押捺指紋)や犯罪現場から採取した指紋(遺留指紋)を光学的に走査し読み取って、ビデオ信号を得、指紋識別に必要な特徴を自動抽出するものである。光学的走査はCCDイメージセンサを利用し、画像処理は、複数の処理ブロックで構成され、前段の処理ブロックからの出力を入力できるように従属接続し、しかも同時に平行して異なる動作をすることのできる処理方式(パイプライン処理)により高速化を図っている。

 照合サブシステムは、入力サブシステムで得られた指紋の特徴と、ファイルしている指紋の特徴とを照合して、合致度の大きい同一候補指紋をファイルの中から選び出し、プリンタに当該指紋の登録ナンバを印字するものである。この照合処理には、大量のファイルと照合するため非常に高速な処理が要求されるので、本システムでは、指紋照合用にCML-LSIを特別に開発し、これを利用した並列処理プロセッサを使用している。このプロセッサは、超大形汎用電子計算機の演算速度の約100倍にあたる1,000MIPS相当の演算速度を有し、1指対1指の指紋照合は平均1.3msで処理することができる。

 このように、これまで人手に頼っていた指紋の識別業務は、電子計算機を用いた自動識別により、処理のスピード化・効率化や業務の省力化が図られると共に、識別指紋の対象を拡大することが可能となり、警察捜査活動における検挙率の向上、犯罪解決の早期化等、治安維持に果たす効果は非常に大きい。

 このシステムは、犯罪捜査に利用する目的で世界に先駆けて開発したものであるが、この指紋自動識別システムに用いられている各種の技術は、個人同定の手段として、銀行・研究所等の侵入検知や入出門管理等での識別システムに応用でき今後の幅広い用途が期待される。

 この技術に対して、電子通信学会は、1983年、伊東達磨氏、河嶋操氏、木地和夫氏に業績賞を贈った。

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