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非線形システムに対する関数解析的解析手法の開発

 大規模集積回路技術の進展等に伴い、大規模非線形回路網等を中心として、各種の非線形システムの特性をさまざまな角度から解析し、評価することが重要となっている。この際、非線形システムの局所的特性は、容易に解析できることが多いが、その大域的特性を評価するためには、非線形システム理論固有の深い解析法が必要とされる。この技術では、近代的非線形関数解析の立場から、非線形システムの大域的特性を評価するための体系的な解析手法を開発して、その要求にこたえたものである。

 堀内和夫氏は、1963年(昭和38年)、世界に先駆け、広いクラスの非線形システムの大域的特性の解析に着手した。まず、同年、非線形フィードバック結合部をもつ非線形連続システムを対象として、システムの振舞いを非線形積分方程式で記述し、完全連続作用素に対するSchauderの不動点定理を適用することにより、システム応答の存在性・唯一性・安定性に関する大域的特性を体系的に明らかにした。この解析手法は、その後、さまざまな形に一般化・深化され、現在に至る10余年の歳月を掛けて、非線形システムの大域的特性を評価するための統一的理論としてまとめられた。すなわち、非常に広いクラスの非線形システムを対象として、そのシステムの振舞いを、さまざまな関数空間上の作用素方程式として記述し、これに、Schauderの不動点定理を始めとして、Banachの縮小作用素原理、完全連続なvector-fieldに対するLeray-Schauderのrotation理論、Krasnosel'skiiの摂動原理など、近代的非線形関数解析の諸手法を適用して解析を進める体系的な理論が構築された。この結果、非線形システムの応答の大域的安定性等の基本的特性はもとより、低次非線形システムの応答からの偏差、入力や内部パラメータの変動に対する偏差等の詳細な解析が行えるようになった。又、このような一般論の構築に平行して、工学上重要な特定のタイプの非線形システムに対して、そのシステムの解析に適した特色ある解析手法も開発された。なかでも、ラプラス変換の思想を関数解析に導入した指数関数形ノルムによる解析法や、内部状態や構造などの変動の影響を取り扱うための非決定性作用素論の開発などは、新分野をひらくものとして、高く評価されている。

 以上のように、各種非線形システムの大域的特性を解析するための理論体系を、近代的非線形関数解析の立場から構築したことは、非線形システム理論の発展に大きく寄与するものと考えられる。

 この技術に対して、電子通信学会は、1981年、堀内和夫氏に業績賞を贈った。


文献

[1] 堀内和夫、大石進一、不動点をめぐって:不動点論の歴史と展望、1992年、情報処理 Vol.33, No.4, 1992
[2] 堀内和夫、非線形関数解析とその電子情報通信システムへの応用、1996年、電子情報通信学会誌 Vol.79, No.7, pp.690-692

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キーワード

非線形関数解析、不動点定理、縮小写像定理、回路とシステム、非線形問題
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