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光ファイバ内屈折率分布の最適設計と測定法の研究

多モード光ファイバの最適屈折率分布の合成

図1 多モード光ファイバの最適屈折率分布の合成

散乱パターン法による単一モード光ファイバ内屈折率分布の測定

図2 散乱パターン法による単一モード光ファイバ内屈折率分布の測定

 光ファイバを光通信用伝送路として用いるとき、その伝送帯域は、ファイバの群分散によって決定される。群分散は、ファイバ中を伝搬する光波が、その伝搬モード、あるいは波長によってわずかながら異なる群速度を有することによって生じ、その原因によって多モード分散、材料分散、構造分散に分かれる。多モード光ファイバにおいては多モード分散が、単一モードファイバにおいては後二者が支配的要因であると考えてよい。この技術では、このような群分散を最小にするためには、光ファイバ内の屈折率分布をどのように設計するべきかを明かにし、又、屈折率分布の新しい高精度・高分解能測定法を発明・開発して、屈折率分布の精密制御の要求にこたえたものである。

 大越孝敬氏、岡本勝就氏、保立和夫氏は、まず、最適屈折率分布を理論的に決定する問題に取組んだ。それまでにも最適屈折率分布を論じた論文は幾つか現れていたが、それらはいずれも屈折率の変化分をrのべき乗と仮定する等の仮定を設けており、真の最適屈折率分布は得られていなかった。これに対し、同氏らは、真の最適分布を計算機内で、いわば「合成」することを目指した。すなわち、屈折率分布を一般に半径rのべき級数展開で表し、まず、一つの分布について群分散特性を計算し、分散が最小に向かうように展開係数を修正する。このような解析・評価・修正を計算機内で数十回繰返した結果、解は収束し、中心部で2乗分布、周辺になだらかな溝をもつ最適屈折率分布を得ることに成功した。又、この研究に関連して、変分法、有限要素法等、多くの有用な特性解析手法を学界に提供した。

 一方、精密に制御された屈折率分布を実現するためには、その精密測定技術の確立が前提となる。従来、数多くの屈折率分布測定法が開発されてきたが、多くのものが分解能の点で不足であり(1μm以上)、特にコア径が数μm程度の単一モード光ファイバの場合には問題が多かった。これに対し3氏は、種々の模索の後、散乱パターン法、出射パターン法と呼ばれる新しい高分解能測定法2種類を考案した。これらの方法は産卵または出射パターンの多量のデータから大形計算機を用いて屈折率分布を逆算するもので、特に前者は、その高い分解能(0.2μm程度)において他方法の追随を許さず、今日、単一モード光ファイバの屈折率分布を十分な精度・分解能で測定し得る唯一の方法となっている。

 このように本研究は、世界に先駆けて多モード光ファイバの最適屈折率分布の計算機合成に成功し、又、極めて高い分解能を有する屈折率分布測定技術を発明・開発して光ファイバ技術の進歩に貢献した。

 この技術に対して、電子通信学会は、1979年、大越孝敬氏、岡本勝就氏、保立和夫氏に業績賞を贈った。


文献

[1] Katsunari Okamoto and Takanori Okoshi、Computer-aided synthesis of the optimum refractive index profile for a multimode fiber、1977年、IEEE Trans. on M.T.T., Vol.MTT-25, No.3
[2] Kasuo Hotate and Takanori Okoshi、Semiautomated measurement of refractive-index profiles of single-mode fibers by scattering-pattern method、1978年、Trans. IEICE Japan, Sec. E, Vol.61, No.3

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キーワード

光ファイバ、最適屈折率分布、屈折率分布測定法、光エレクトロニクス
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