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垂直磁気記録方式の発明・開発

 リング型ヘッドを用いる現在の磁気記録ではすべて、磁気テープなどの記録媒体における平面内方向の磁化を用いる方式が採られている。この方法では、媒体上の信号の記録密度を増すには、減磁界による磁化の減衰を防ぐため、磁気テープの磁性層を薄くすることと抗磁力を高めることが必要である。現在における一般の開発方向は、この考え方に沿ったものであるが、岩崎俊一氏は、この方向は、磁気記録の現象の一面のみをみた解釈に基づくものであることを予見し、1968年(昭和43年)以降、それまで非線形性のため解析が難しかった磁気記録過程について、磁気テープなどの部分磁化作用に対する逐次近似計算法、あるいは磁性流体によるテープ断面の磁化観測などの新しい理論と実験手法を駆使して研究を行ってきた。その結果、厚い磁性層の記録媒体で高密度の記録が難しくなるのは、信号の磁化の減衰だけでなく断面内で磁化が閉ループ(これを回転磁化モードと名付けた)を作り、外部に磁束を誘導しなくなることが主な理由であることを見出している。これらの一連の研究は、セルフコンシステント磁化に基づく記録理論と呼ばれ、それ以後、各国でこれに基づいた多くの研究が進められるようになった。

 なお、この回転磁化モードの性質として、媒体面に垂直な成分をもつ直流磁界を加えると、垂直磁化に変換され信号として読出せることを見出したが、これは垂直磁化による磁気記録の研究を始める重要な動機となった。すなわち、同氏は、上記の結果を考慮して磁気記録の原点にもどり、改めて、垂直形の磁気記録を実現する方法について研究を行い、新たにコバルトクロムを主成分とする垂直記録媒体および磁性薄膜を用いた垂直形磁気ヘッドを開発し、これらを組合せて今まで不可能と考えられてきた垂直形磁気記録を、1977年(昭和52年)に初めて実現した。この方式には、長手記録とは逆に、信号が短波長になるほど減磁界が減少して残留磁化が増すため、本質的に高密度記録に適した性質がある。特に、ディジタル信号に対しては、記録媒体上に極めて鋭い磁化の変化を与えることができ、現段階で40Kbit/インチを越す記録密度に達することが確かめられている。

 以上のように、この研究は、従来の技術に理論・実験の両面から根本的な検討を加えると同時に、その発想を異にした新しい磁気記録の分野を開拓したものであって、磁気記録技術の進展に大きく寄与した。

 この技術に対して、電子通信学会は、1979年、岩崎俊一氏に業績賞を贈った。

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垂直磁気記録方式、磁気記録
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