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20GHz帯ディジタル無線中継方式の実用化

送信局部発振器の構造

図1 送信局部発振器の構造

降雨減衰と交差偏波識別度(XPD)の関係

図2 降雨減衰と交差偏波識別度(XPD)の関係

標準中継局外観

図3 標準中継局外観

 電電公社におけるマイクロ波方式は、国内の増大する電話の自動即時網、テレビ中継網拡充に対処する有力な手段として急速に発展し、2GHzを始めとして、4、5、6、11及び15GHzの各周波数帯を使用した多くの無線中継方式が既に実用に供されているが、今後の電話網ディジタル化や新サービスの多様化に備えて、更に大容量かつ経済的なディジタル無線中継方式の開発が要望されていた。

 20GHz帯ディジタル無線中継方式は、このような要請にこたえるべく、これまで未開拓の新しい周波数帯を用いて1システム当り電話5,760回線、1ルート当り約46,000回線の世界最高速(400Mbit/s)の大容量長距離伝送を可能としたものである。

 本方式の実用化は、約8年の歳月と電電公社およびメーカーの関係者多数の協力により達成されたものであるが、なかでも桑原守二氏、山本平一氏、中村嘉男氏は、本方式の研究実用化の各段階においてグループの中心となって幾多の困難な課題を克服し、その完成に尽力した。特に、準ミリ波帯においては、15GHz帯以下の周波数帯に比べ、降雨による電波減衰が急激に増大するという大きな制約があり、この基本的課題を克服して実用可能な無線中継方式を実現するためには、これまでのマイクロ波中継方式とは異なった技術開発が必要であった。

 本方式の研究実用化は1969年(昭和44年)に開始され、1971年からは、関東地区、北陸地区を中心に数回にわたる現場試験を実施し、実環境下における諸問題等についてあらゆる角度から検討を加え、1974年最終現場試験により本方式の実現性を明かにした。これを基盤として1976年には東京-横浜間および大阪-神戸間の回線を完成、12月より商用が開始された。

 本方式の実現には、(1)20GHz帯伝搬特性の高精度推定法の確立と交さ偏波識別度劣化機構の解明、(2)多中継時のジッタ軽減法の確立、(3)高速4相位相変調、符号間干渉補償など狭帯域伝送技術の確立、(4)準ミリ波固体発振素子、マイクロ波IC、分波器など小形・高信頼度部品の開発、および(5)施工性・保守性・経済性に優れたポール形中継所の開発等が大きく寄与している。本方式は、サービス開始以来順調なか動を続けており、当初の目標が十分達成されていることが確認されている。

 以上のように、本方式の完成は、将来のディジタル伝送網形成の基盤を与えたほか、我が国のこの分野の水準を更に高め、その成果は今後の無線技術の開発に広く寄与するものである。

 この技術に対して、電子通信学会は、1978年、中村嘉男氏、山本平一氏、桑原守二氏に業績賞を贈った。


文献

[1] 中村嘉男、吉川達雄、山本平一、西野孝平、細田 彰、20GHz帯ディジタル無線中継方式、1978年、電子通信学会誌、61巻、3号
[2] Yoshio Nakamura, Tatuo Yoshikawa, Heiichi Yamamoto, Kohei Nishino, and Akira Hosoda、20 GHz Digital Radio-Relay System、1978年、Journal of IECE, Vol.61, No.3, 1978/3
[3] 小桧山賢二、門馬宏二、帯域反射形ガン発振器、1974年、電子通信学会論文誌、57-B巻、2号
[4] Kenji Kohiyama and Kouji Monma、Band Reflection Type Cavity Stabilized Gunn Oscillator、1974年、Trans. IECE, Vol.57-B, No.2, 1974/2
[5] 山本平一、塩田宏明、準ミリ波帯PINダイオード高速4相位相変調器、1975年、電子通信学会論文誌、58-B巻、7号
[6] Heiichi Yamamoto and Hiroaki Shiota、PIN-Diode High-Speed Quadriphase Modulator at 20 GHz Band、1975年、Trans. IECE, Vol.58-B, No.7, 1975/7
[7] 森田和夫 他、降雨時における20GHz帯交さ偏波識別度の測定、1974年、電子通信学会論文誌、57-B巻、9号
[8] K. Morita et al.、Measurement of Cross-Polarization Distortion in 20GHz Band due to Rain、1974年、Trans. IECE, Vol.57-B, No.9

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ディジタル無線中継方式、20GHz帯ディジタル無線中継方式、通信方式、無線通信システム、マイクロ波
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