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衛星放送用SHF帯受信機の開発

立体平面回路を用いた衛星放送用SHF受信機の写真

図1 立体平面回路を用いた衛星放送用SHF受信機の写真

NHKとNASAとの共同受信実験の写真

図2 NHKとNASAとの共同受信実験の写真

 近い将来、日本および諸外国では静止衛星利用の放送の実験が試みられるが、この際解決しておかなければならない最も重要な問題の一つがSHF帯の低廉かつ低雑音の受信機である。日本では12GHz帯でのFM放送を受信する受信機が必要で、まず12GHzを中間周波に変換するダウンコンバータとFM波をテレビ受像機で受信するのに必要なVHF帯またはUHF帯のAM波に変換するFM-AM変換器が必要となる。従来ダウンコンバータには導派管回路を用いるか、マイクロストリップ回路が主として用いられていた。前者は回路損失が少ないが立体回路構成が複雑なため、多重生産が困難な上低廉化が難しい。又、後者は多量生産はできるが回路損失が大きいため低雑音なコンバータが困難であった。

 小西良弘氏は永年マイクロ波回路の研究に従事し、数多くの発明を行ってきたが、中でも導波管と平面回路の組合せ技術に関する独創的なアプローチを前々から行い、これを用いた100GHz帯のコンバータの開発も行っていた。今回の放送衛星受信機にもこれらの技術を適用することを考え、一枚の金属板上に必要なパターンをつくってできる平面回路を、導波管の中央に立体的に配して作られる立体平面回路を考案し、多量生産が可能でかつ回路損失の少ないコンバータを開発した。この構造では広帯域にわたりイメージ短絡が得られる設計をしており、雑音温度が500 Kで帯域幅も中間周波数の50%比帯域幅のものを得ている。次にFM波をAM波に変換するのに従来はFM波をいったん映像信号と音声信号に検波し、次に振幅変調をする方法が用いられたため、複雑な回路構成のうえ消費電力が大きく低廉化が困難であった。これを解決するため、小西氏は全く新しい手法として、FM波を検波することなく直接AM波に変換する独創的な方法を考案し、極めて簡単な回路構成のFM-AM直接交換方式を開発した。以上の2つの新しい構想に基づいて12GHz帯の低雑音受信機を低廉な価格で多量生産できる見透しを得るに至った。この受信機は現在日本のメーカに技術指導され実用の段階に入ろうとしている。

 又、諸外国からも指導の依頼をうけている。なおこの受信機は世界的に注目をあびアメリカやカナダなどから衛星放送受信のためにこの受信機を用いて実験する提案を受けている。又この受信機は将来の地上のSHF帯放送用受信機としても適用することができる。従来の概念では、衛星または地上放送というものが受信機の高価なため、非常に困難とされていたものがこの受信機の開発により可能となった。

 この技術に対して、電子通信学会は、1975年、小西良弘氏に業績賞を贈った。

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1975
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キーワード

SHF帯受信機、衛星放送用受信機、無線通信システム、衛星通信
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