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新しい三極管特性を有する高性能トランジスタ

 西沢潤一氏は、同氏が1950年(昭和25年)に提案していた静電誘導電界効果トランジスタ(以下SITと称す)を、同じく同氏の独創になる完全結晶成長技術および高純度結晶成長技術を活用して開発し、従来のトランジスタが、バイポーラ形、電界効果形(FET)ともに、電圧の増加に対して電流が飽和する特性に限られていた半導体デバイスの分野に始めて立上り特性を示すトランジスタを導入した。

 FETの特性は、飽和形であるとする世界の学界の定説をくつがえし、Shockley博士の理論の誤りを訂正して新しい伝導理論を導入し、電界効果トランジスタがSITにもまた飽和形のFETにもなり得ることを明らかにし、両者を分ける設計基準を確立した。

 従来の飽和形トランジスタは出力インピーダンスが極めて大きく、回路応用に際して各種の対策を必要としたが、今回西沢氏により開発されたSITは、従来のFETと同じく高入力インピーダンス電圧駆動形素子の特徴である駆動電力が少なく回路構成も簡単であるという長所を有しながら、電流が電圧の増加とともに増加する立上り特性を示しており、しかもその出力インピーダンスが構造や不純物分布を変えることにより1オーム以下から数十キロオームまで広い範囲にわたって設計できるため、ほとんどすべての回路や機器に有利な応用ができる。又、SITはその動作機構から、信頼度が高く、周波数特性、ひずみ率、雑音特性、電力限界とも従来のトランジスタに比較して優れている上に、温度特性を負に設計できる熱暴走が起り難いという長所を持つことから、更に広範囲の応用を見ることになり、今後の半導体工学の諸分野に貢献するものと考えられる。

 SITは音声周波増幅器には既に実用化され、まだ日浅いにもかかわらず非常に高い評価を受けるに至っている。更に大電力用や超高周波用を始めとしてサイリスタ、集積回路などへの応用も行われる公算が大きく、バイポーラトランジスタ、FETに続いて第3のトランジスタ群を形作るものと期待され、既に多くの製造会社で製作が開始され各種の分野に応用されようとしており、我が国半導体工業が世界に先んじた例であり、今後独創的産業を展開してゆくための貴重な指針ともなるであろう。

 この技術に対して、電子通信学会は、1975年、西澤潤一氏に業績賞を贈った。

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静電誘導電界効果トランジスタ、SIT、電子デバイス
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