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長寿命半導体レーザの研究開発の先導

 半導体レーザは、光エレクトロニクスの基本素子として、近年世界各国において研究、実用化が活発に進められている。

 この間にあって、林厳雄氏、南日康夫氏らの研究グループは、早くより室温で連続動作可能な、いわゆるGaAs-(Ga・Al)Asダブルヘテロ接合レーザの研究に従事してきた。そして半導体レーザの速い劣化が、その実用性に疑問をいだかせる最大の理由であることを認識し当時手がかりが皆無であった劣化の研究に本格的に取り組んだ。その際通商産業省の大形プロジェクト研究パターン認識の一環としての委託研究も受けた。

 二氏らは、光学顕微鏡、赤外線顕微鏡、走査形電子顕微鏡、X線装置などを駆使して、異種半導体のエピタキシャル結晶成長されたいわゆるヘテロ結晶内の欠陥をつぶさに観察し、速い劣化が従来の半導体素子でしばしば見られた不純物の拡散によるものと異なって、ヘテロ結晶の格子の破壊に基づくものであることを見出した。

 このような劣化機構の理解に立って、二氏らは、ヘテロ結晶の製造技術、いわゆる液相エピタキシャル結晶成長技術の改良を重ね、結晶組成比の精密な制御により、破壊の原因を取除くことに成功した。このようにして作られたダブルヘテロレーザには、早い劣化がほとんど見られなくなり、従来の数分ないし数時間の寿命から、一躍数千時間の寿命をもつものが得られるようになった。二氏などは更に詳細な結晶格子破壊の機構を追及し学会などの研究発表を通じて、学術的理解に寄与している。

 半導体レーザを実用に供するには、残された"遅い劣化"も解決されなければならずこれは、今後の研究課題として残されている。しかし最初のしかも最大の難関であった、早い劣化の問題を解決したことは、半導体レーザの実用化に向かっての突破口を開いたもので今後の光エレクトロニクスのはってんに寄与すると考えられる。そして二氏らによって代表される研究グループの成果は、従来しばしば見られたような単なる経験的手法によるよりは、最新の測定技術によって得られた学問的理解に基づいて行われたことは、今後我が国が世界にさきがけた技術開発を行うことが必要とされている際に、一つの事例を残したものと言える。

 この技術に対して、電子通信学会は、1975年、林厳雄氏、南日康夫氏に業績賞を贈った。

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キーワード

半導体レーザ、長寿命半導体レーザ、レーザ・量子エレクトロニクス
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