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300万V超高圧電子顕微鏡の製作

Alの結晶粒サイズの試料膜厚依存性:超高圧電子顕微鏡の必要性

図1 Alの結晶粒サイズの試料膜厚依存性:超高圧電子顕微鏡の必要性

大阪大学長高圧電子顕微鏡(1号機)の断面図

図2 大阪大学長高圧電子顕微鏡(1号機)の断面図

大阪大学長高圧電子顕微鏡(1号機)の外観写真

図3 大阪大学長高圧電子顕微鏡(1号機)の外観写真

 電子顕微鏡は現在材料科学、生物科学を初め自然科学の研究には不可欠の手段として広範に利用されているが、厚い試料が使用できない欠点があった。これを克服して電子顕微鏡の効用をさらに飛躍的に向上させるため、加速電圧の超高圧化が始まり、加速電圧100万ボルト程度の電子顕微鏡は国内外で運転を開始していた。これらを使用した応用研究者の間から、さらに高い電圧を望む声が高まり、菅田栄治氏(当時大阪大学)を中心とする裏克己氏らの大阪大学超高電圧電子顕微鏡グループと、日立製作所木村博一氏を中心とする3MV電顕製作チームとが協同して300万ボルト電子顕微鏡の設計を開始したのは1969年(昭和44年)1月であった。1970年(昭和45年)9月には、日立製作所中央研究所で試運転を行ない、その経験をもとにして1年間余り改良を続け、1972年3月に文部省特別設備として大阪大学に引き渡しを完了、同年4月に運転を開始した。

 製作の基本方針は、単に記録を狙うのでなく、応用研究者にとって使い易い実用機を製作することにおかれた。基本形態として、直流高電圧発生部と加速管を同じフレオンガス封入圧力タンクに収納するわが国独自の方式を採用し、これと鏡体部分と合わせて全重量67トンを重心付近で支持することにより、コンパクト化するとともに大きな除震効果を得ている。

 超高圧電子顕微鏡の心臓部である加速管に対しては、加速管の宿命ともいうべき微小放電を極力抑制するための電極の設計、汚れの少ない高真空を実現するための加速管の形状、ポンプ系の設計ならびに工作について入念な工夫がこらされている。これらの努力の結果最高電圧300万ボルトを安定に印加することに成功している。また加速管の微小放電検出器と連動させた自動高圧印加装置、試料ならびに絞り微動機構のサーボモータ駆動、電顕像の輝度増強ならびにVTRの導入、その他可能な限りのエレクトロニクスを導入し、取り扱いの簡便化と同時に高信頼化に成功している。

 最近の電子顕微鏡においては、試料に加熱、冷却、引張り、傾斜などの条件を課しながら観察することにその応用の力点がおかれている。この300万ボルト電子顕微鏡では従来の標準形のアタッチメント以外にも試料を気体または液体中で観察するためのカプセル装置などを新しく開発している。

 この300万ボルト電子顕微鏡は現在大阪大学で共同利用され、国内外から利用希望が殺到している。

 この技術に対して、電子通信学会は、1973年、菅田栄治氏、木村博一氏、裏克己氏に業績賞を贈った。


文献

[1] S. Ozasa et al.、3 Million Volt Electron Microscope、1972年、J. Electron Microscpy, vol.21, pp.109-118, 1972
[2] A. Takaoka et al.、Developmetn of a new 3 MV ultra-high voltage electron microscope at Osaka University、1997年、J. Electron Microscopy, vol.46, pp.447-456, 1997
[3] Nature 編集部、Microscopic marvels; magnifying power; the big and the bold、2009年、Nature, vol.459, p.615, p.629, pp.634-635, 2009

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超高圧電子顕微鏡、300万V超高圧電子顕微鏡、その他(電子・デバイス一般)
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