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磁性薄膜メモリの発明開発

ファインストライプメモリ(F.S.M.)の構造図

図1 ファインストライプメモリ(F.S.M.)の構造図

 電子計算機の主記憶としては、フェライトコアがほとんど独占的に使用されてきたが、コアの小形化、駆動電流の増加等による高速化の努力も限界があり、本質的に大幅な高速化は困難である。

 大島信太郎氏を中心とする小林俊彦氏、上林鉄三郎氏らの磁性薄膜研究グループは、早くより電着法により銅線表面に磁性合金膜を析出した磁性線の開発を進め、この磁性線を用いたワイヤメモリの実用化に成功している。ワイヤメモリの磁性線には円周方向の容易軸を持つ磁性膜が電着されており、完全閉磁路であるため、当時内外で盛んに研究されていた平面膜に比較して安定性、高密度性等多くの点ですぐれている。織成形ワイヤメモリは、その製作法に織物技術が応用されており、量産的な構造になっている。

 磁性薄膜メモリの高密度化と低価格化をさらに進めたものとしてファインストライプトメモリが発明された。このメモリはワイヤメモリをIC化したものと考えることもできる。真空中でガラス基板の上にパーマロイ薄膜を全面蒸着し、その上にさらに銅を蒸着した後ホトエッチングで50μ幅の細いしま状に銅とパーマロイの重なった膜を作り、その上にパーマロイを電着した形のデジット線を作ることにより、真空中でマスクを使用する欠点を除去している。この結果50μ幅の磁性線が50μ間隔で並んだプレーンが一挙に製作されるが、一様な特性の磁性膜が得られるまでには、その研究過程において困難な問題点を解決しており、その成果は高く評価されている。

 一方フェライト板に溝を切り、その中に語線群を埋めた形状のきわめて効率のよい磁束キーパを開発した。磁束キーパの効果もあり、ファインストライプトメモリは、従来のメモリに比較して、駆動電流は1/3以下、S/N比はきわめて高く、また一括生産的に1cm平方当り5000ビットの高密度化が実現され、非破壊読出しが容易である等のすぐれた特長をもっている、このメモリの製作技術についてはすでに主要メーカ13社に対して技術指導が実施され、わが国の情報処理機器工業における技術向上に寄与した。

 この技術に対して、電子通信学会は、1972年、大島信太郎氏、小林俊彦氏、上林鉄三郎氏に業績賞を贈った。


文献

[1] 大島信太郎、小林俊彦、上林鉄三郎、岡田 晟、駒沢義久、小室圭五、ファインストライプメモリについて、1969年、昭和44年電子通信学会電子計算機研究会資料EC69-7 (1969-05)
[2] S. Ohshima, T. Kobayashi, T. Kamibayashi, A. Okada, Y. Komazawa and K. Komuro、On Fine Striped Memory、1969年、IEICE Technical Report on Electronic Computer, EC69-7, 1969-05
[3] S. Ohshima, T. Kobayashi, T. Kamibayashi, A. Okada, Y. Komazawa and K. Komuro、Improvement on magnetic properties of Fine Striped Memory、1970年、IEEE Trans., Mag-6, 725 (1970)

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