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600形電話機の実用化

 戦後わが国独自の技術によって完成された4号形電話機は、1963年(昭和38年)、600形電話機の量産が始まるまで10年余生産されてきた。しかし近年大電話網の建設に伴ない、市内ケーブルの心線径を0.4mmから0.32mmに細くして線路施設経費を節約する計画が進められ、これに対処するため4号形電話機よりさらに高性能でしかも低価格な電話機の出現が要望された。

 1958年(昭和33年)増田氏を中心とし、三浦・山口氏らよりなる研究グループは新形電話機の実用化に着手した。まず通話性能面から目標達成に最も効果的な送話器・受話器・防側音回路の諸特性が決定された。また設計に当たっては、性能の確保、材料費の節約、製造工数の減小に重点が置かれた。このため性能上必要の個所には十分余裕のある設計をするが不要の部分の材料は切詰め、工作はプレス加工を主とし、またメッキ工程やネジ類の使用を極力避ける種々の工夫が行なわれた。このほか寿命や保守の容易さにも留意して数度の試作を重ね、日本電気、富士通信機、沖電気、日立製作所、岩崎通信機、東京芝浦電気、住友ベークライト、沖電線などの各社の協力を得て1960年(昭和35年)末に600形電話機が完成された。ついで1961年には5,000台の第1次商用試験、1964年には20,000台の第2次商用試験が実施され、成功を収めた。

 この600形電話機は従来の4号形電話機に比し、明りょう度特性の面で約9dB改良されている。送話器・受話器は自由度3の音響系、スリットダンパの使用、バリウムフェライト磁石の使用、送受器の短縮などにより、4号形に比べそれぞれ感度が5dB改善された。電話機回路は送受話器の感度上昇に伴なって特に側音平衡の改良が必要となり、多大の努力が払われた。またプリント配線やピン端子方式の採用により量産と保守に便利となった。ダイヤルは従来障害の多かった部品であったが、600形では全面的な改良が施された。すなわちステンレス鋼のうず巻き主スプリング、平歯車のみによるトルク伝達機構、フライバー式ガバナ、接点割込方式などの採用により従来よりも安定で長寿命なダイヤルを無調整で組み立てることができた。その他筐体、磁石電鈴、機ひも、フックスイッチなどについても十分検討が加えられ、4号形に比し価格と寿命の点で大きく改良されている。

 600形電話機は1965年末で約300万台製造され、加入者へのサービス改善に大きく貢献している。またこの600形電話機は諸外国の電話機に比較しても、十分高性能でかつ安定なものである。

 この技術に対して、電気通信学会は、1966年、増沢健郎氏、三浦宏康氏、山口善司氏に業績賞を贈った。

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キーワード

600形電話機、4号形電話機、応用音響、音声・聴覚、機構デバイス
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