1. HOME
  2. 電気・情報関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号898)

東海道新幹線の通信システムの完成

 日本国有鉄道の東海道新幹線は、東海道本線の輸送行詰りを打開するために建設されたものであるが、鉄道のよさをフルに発揮した斬新さによって世界各国の注目をあび、鉄道が再認識される契機をもたらしたのである。東海道新幹線の成功は、もとより軌道、車両などの既成鉄道技術の進歩によるところが大きいが、在来の鉄道にはみられなかった電気通信システムの利用によるところが、きわめて大きかったということができる。

 吉村寛氏、中村敏行氏ならびに石原嘉夫氏の3氏は、国鉄本社新幹線総局にあって、通信計画の段階から、関連技術開発の推進、通信システム設計ならびに全般的工事計画と推進、指導にあたり、鉄道技術研究所ならびに関係各製造会社の協力を得て、鉄道として画期的であり、しかも電気通信技術の進歩をもたらした東海道新幹線の通信システム完成に、大きな貢献をされたのである。

 鉄道事業には電気通信が不可欠であるため、各種の通信手段が利用されているが、電気通信技術の揺ラン時代に鉄道システムとしての基盤を確立したという歴史的経緯から、その利用が充分であったとは言い難かった。ところが東海道新幹線においては、電気通信技術の進歩を的確にとらえてこれを大胆に導入し、既成の鉄道概念を破って、東京-新大阪間約515kmを、東京の総合指令所において集中管理することを可能とし、鉄道運営の能率を飛躍的に向上せしめることができた。

 計画段階において、障害物探知システムや各種の列車対地上通信システムの研究開発を推進した結果、東海道新幹線の通信システムを、400MHz移動多重無線通信方式と、1.2/5.6mm細心同軸複合ケーブル通信方式を基盤とすることに決定した。

 また列車と地上とは、400MHz帯電波により、8回線の電話回線を構成し、沿線27か所に列車無線中継所をもうけて、細心同軸搬送でアプローチ回線を構成し、細心同軸搬送はCTC(列車集中制御装置)の2000ボー、CSC(変電所集中制御装置)の1200ボーの高速度符号伝送をおこなうとともに、外層カッド心線では沿線500mごとにもうけた沿線電話回線など、有機的な通信システムを構成することに成功した。

 特に列車無線が8回線の多重システムであり、約60kmのトンネルに対して弱電界対策を施し、全線にわたって選択個別呼出しならびに、通話の自動追跡を可能にし、安定なる通信回線を構成したことは世界においてもその例をみないものである。その他大電力の交流電気運転に伴う誘導障害を軽減するため、アルミシース通信ケーブルを採用し、その技術を確立したことも特筆すべき事柄である。

 以上のごとく、計画から実施に至るまで、土木、電力工事と協調して完成にこぎつけるに至ったのは、全く3氏の努力とその適切なる指導にたまものであって、東海道新幹線の成功だけでなく、鉄道の近代化ならびに電気通信技術の発展に著しく貢献したものということができる。

 この技術に対して、電気通信学会は、1965年、吉村寛氏、中村敏行氏、石原嘉夫氏に業績賞を贈った。

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

通信
(通信に係わる技術)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

1965
佐藤首相が首相として、戦後初めて沖縄を訪問する。
1965
ソ連の宇宙飛行士が、人類初の宇宙遊泳に成功する。

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

移動多重無線通信方式、細心同軸複合ケーブル通信方式、通信方式
Page Top