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C-12M同軸方式の実用化

 C-12M同軸方式は2.6/9.5mm標準同軸ケーブルを使用して、周波数300kHzないし12,435kHzを伝送帯域とする電話2,700通話伝送方式である。この方式の特徴は、960通話路を伝送する既設同軸ケーブル回線に中継所を増設するだけで、新たにケーブルを敷設することなく約3倍の通話路を伝送し得ることで、高価な同軸ケーブルを有効に利用することができ、しかも、所要経費が僅少ですむという利点がある。

 この方式の研究は1955年より1961年の間電気通信研究所において重井、高原、小島の3氏を中心とする研究グループにより、方式から、部品に至る総合的研究が行なわれ、1961年6月、成功裡に第3次現場実験を完了、世界に先がけて実用化に至ったものである。

 C-12M同軸方式の標準中継所間隔は現用960通話路方式の1/2の4.5kmでCCITTの標準擬似回線長2,500kmに対し、従来の2倍、約560個におよび中継器を必要とする。しかも、一中継器の負担する回線数は約3倍に増加しているため、所要信頼度に対する荷重は大よそ6倍に達する。1955年当時は960通話路方式がようやくわが国の基幹回線に採用されようとしている時であって、回線需要の点からも、さらに多重化を行なうことに疑問が持たれており、しかもかかる超多重中継方式に対する負荷容量、ひずみ、雑音等の設計条件、真空管の過負荷、ひずみ、figure of merit、等の規格、主発振器の所要安定度ならびにこれを満足するための設計方式等は世界的に先例がないため、すべてみずから研究、開発してゆかねばならぬ状態であった。

 当面した諸問題について二、三の例を挙げると、(1)超多重信号とひずみスペクトル、特にプリエンファシスを施した場合の中継系における問題。(2)多中継時のレベル変動量の予測ならびに、自動利得調整方式の設計。(3)真空管はとくに本方式用として現段階における最高の技術を集積して開発したものであるが、最高能率で用いてはじめて中継器が実現可能となっているため、方式設計上の余裕を大きくとることができず、信頼度の要求と相反する。(4)主発振器は安定度±5×10-8を要求され、これを満足するためには発振回路の安定度は1桁以上上げ、しかも、年間変動±0.1°C以下、脈動±0.01°C以下の恒温槽を必要とする。(5)浮遊容量の小さい高Gm真空管を得るために第1格子と陰極が近接し、格子巻線の線径ならびに工作の精度が極度に要求される。得られたものは線径8μ、ピッチ70μ、GK間70μ、Gm44mmhoに達するものである。

 以上の如く、外部条件ならびに技術的な諸問題に対し、3氏は一致協力、地道に研究成果を積み上げ、ついに今日の成功をかち得たものである。

 本方式は、現在、東京-静岡間において商用試験にうつされており、約250kmの回線長に対し、年間±1dBという良好な安定度を保持している。また本方式開発の成果は、1962年CCITTに報告され、世界最初に開発した国として、国際的な注目を浴び、わが国通信技術の優秀性を世界に示すことができたものである。

 この技術に対して、電気通信学会は、1964年、重井芳治氏、高原靖氏、小島卓哉氏に業績賞を贈った。

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