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高密度光ファイバケーブル並びに関連技術の実用化

アクセス用光ファイバケーブルの基本設計

図1 アクセス用光ファイバケーブルの基本設計

開発した高密度光ファイバケーブル

図2 開発した高密度光ファイバケーブル

多心一括接続技術

図3 多心一括接続技術

非ガス保守システムを実現した技術

図4 非ガス保守システムを実現した技術

 光ファイバケーブルは1980年代初めに中継幹線から実用化が開始され、その低損失、大容量、無誘導等の特徴を生かし、まず日本の中継系通信網の骨格が形成された。更に情報化社会の進展に伴い、加入者系についても光ファイバケーブルによる高度なネットワークの構築が要請されてきているが、加入者系では面的にひろがるユーザに配線するための網構成法と、中継用の光ファイバケーブルとはけた違いの多心・高密度化、簡易な接続技術が必要になる。

 高島征二氏、川瀬正明氏、上野谷拓也氏はこれらの課題を解決するため、加入者網構成、ケーブル構造、接続工法、建設・保守性などあらゆる観点から総合的な検討を行い、複数の光ファイバを平面上に整列し、一括して被覆したテープ形光ファイバ心線を基本とする高密度光ファイバケーブルとその関連技術を開発した。テープ形光ファイバ心線は複数の光ファイバを一括して取り扱えるためファイバの識別や接続が大幅に簡略化できる。またケーブル構造もテープ心線を溝(スロット)に積層して収納するスロットコア構造として単心線構造に比べて10倍以上の高密度化を実現した。

 これらは心線、ケーブル構造の独創的な考案に加えて、平面上に固定されたファイバが二重ら旋構造をとる場合の伸び、圧縮、捩じれ等の複合ひずみ解析と時間的なひずみ分布を考慮した等価ひずみ設計により実現されたものである。更に効率的かつ高信頼な光線路網を構成する技術として、光ケーブルのループ配線を基本とする光線路網構成法を確立した。また、従来の光ファイバケーブルの保守はメタリックケーブルと同じガス圧監視システムが採用されていた。ガス保守システムは極めて優れた方式であるが、光ファイバケーブルのように細径高密度になると空気の流動抵抗が増大し、適用が困難になってくる。従来ジェリー充てんケーブルによる非ガス保守の例はあるが、作業性が悪いため一般的には使われていなかった。これらの課題を解決するため、浸水時に吸水して体積が膨張する吸水材を用いた新構造防水ケーブルを提案し、ケーブル用の吸水テープの開発と総合的な信頼性の評価を実施して信頼性と作業性の優れた新規な概念に基づく非ガス保守システムを実現した。一方、テープ形光ファイバ心線は接続にも画期的な進歩をもたらし、多心一括光ファイバコネクタ(MTコネクタ)や多心一括融着接続機が開発された。MTコネクタは高精度なプラスチック成形技術と高信頼性材料により実現されたもので、特にコネクタ付きケーブルでは現場での接続作業を極めて簡易にできる。多心一括融着接続機も主要な工程は自動化され、作業者のスキルに依存しない低損失な接続が実現されている。

 これらの技術は加入者系のみならず、中継系にも適用が拡大され、諸外国においてもテープ形光ファイバ心線の開発が活発に行われており、国際標準化等を通して国際的にも貢献している。

 以上述べたように本技術は将来の高度情報化社会を支えるインフラストラクチャの構築を可能にするもので、その有用性は国内のみならず外国においても評価の高いものである。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1993年、高島征二氏、川瀬正明氏、上野谷拓也氏に業績賞を贈った。


文献

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キーワード

高密度光ファイバケーブル、FTTH、光ファイバ接続、非ガス保守、防水ケーブル、光線路試験、MTコネクタ、融着接続、光伝送
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