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超大容量光伝送方式の開発

 長距離伝送路網のディジタル化は、サービス総合ディジタル網(ISDN)の実現のために重要な課題である。大容量光伝送方式としては既に単一モード光ファイバケーブル伝送技術と長波長1.3μm帯光技術をもとにF-400M方式が実用化され、1985年2月には日本縦貫ディジタル伝送路として完成するなど長距離基幹伝送路の構築が進められていた。しかし、電話のみならず、ディジタル専用線サービスやISDNのサービスの増大に備えて、超大容量光伝送技術の開発が望まれていた。

 本研究は、超高速光ファイバ伝送系構成技術と超高速半導体光素子および超高速集積回路技術などの超高速光伝送技術の研究開発であり、超大容量光伝送方式の実用化に多大の貢献をした。

 超高速・長中継間隔の方式を実現する上での問題は、送信器における半導体レーザの発振スペクトル揺らぎと伝送路の光ファイバ分散に起因するモード配分雑音の発生である。本研究は、これらを克服する最も効果的な方法として、半導体レーザの発振波長を単一にすることの重要性をいち早く明らかにするとともに,超高速変調可能で波長安定化を図った分布帰還型半導体レーザおよびGe-APDよりも暗電流が小さく受光感度の優れたInGaAs-APDなど1.3μmから1.55μm帯における高性能で高速な半導体光素子の開発を実施し,それらを用いた伝送実験で超大容量光伝送方式実現への展望を開いた。更に、分布帰還型レーザのチャーピングの伝送特性に与える影響などを明らかにし超高速光伝送系の設計法を確立し、1.55μm分散シフトファイバを用いた長スパン化により、既存方式との中継間隔の両立性、および中継間隔と伝送装置の系列化と経済化を達成した。また、光中継回路の高速化や超高速非同期多重伝送端局のモジュール化のために、超高速シリコンバイポーラLSI技術(SST:Super Self-aligned Process Technology)の研究開発を行い、ギガビット伝送への適用の主流となっている新しい超高速LSIの実用化を行った。

 これらの諸技術を集大成し、1985年には、立川-甲府間の現場試験をいち早く実施し、既存のF-400M方式の4倍の電話換算23,040チャネルの伝送が可能な超大容量F-1.6G方式を世界に先駆けて実用化した。この方式は1987年より本格的な導入が開始され、長距離基幹回路の経済化に大きく寄与した。また、ここで開発した超高速伝送技術は、高次群同期網の実現やコヒーレント光通信技術の研究などの基礎として、また超高速コンピュータ等の部品として広く活用されている。

 以上のように、本方式の研究開発は、超高速光伝送技術の基礎を確立し、電気通信の発展に大きな礎となるものである。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1991年、中川清司氏、車田克彦氏、酒井徹志氏に業績賞を贈った。


文献

[1] 中川清司、ギガビット/秒超高速光伝送技術、1986年、電子通信学会誌,第69巻,3号
[2] Kiyoshi Nakagawa, Koh-ichi Aoyama, Jun-ichi Yamada, Noriaki Yoshikai、Field Experiments on The F-1.6G Optical Fiber Trunk Transmission System、1986年、IEEE Global Telecommunications Conference, pp. 1205-1209, 1986
[3] Kiyoshi Nakagawa、Second-Generation Trunk Transmission Technology、1983年、IEEE Journal on Selected Areas in Communications, vol.SAC-1, no.3, pp. 387-393
[4] Kyoshi Nakagawa, Takeshi Ito、Detailed Evaluation of an Attainable Repeater Spacing for Fibre Transmission at 1.3 um and 1.55 um Wavelengths、1979年、Electronics Letters, vol. 15, no. 24, pp. 776-777

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超大容量光伝送方式、F-1.6G方式、光通信システム、光伝送、レーザ・量子エレクトロニクス、電子デバイス
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