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光・電磁波工学における高精度数値解析法に関する先駆的貢献

 情報化時代とされる21世紀にあって、とりわけ電磁波は、マルチメディアサービスの担い手として、ますます重要なものになっている。超高速光通信システムでは光が、また移動体通信システムでは電波が、まさしく八面六臂の大活躍を続けている。こうした情報通信システム構築の基盤技術となる光エレクトロニクス、光ファイバ通信工学、マイクロ波工学などの分野においては、目には見えない電磁波を研究対象とするため、デバイス設計からシステム設計に至るまで、高精度なモデリングやシミュレーションが日常的に必要不可欠となる。

 小柴正則氏は、光・電磁波工学の分野において、いち早く独創的な数値解析理論を展開し、理論に裏付けされた高精度な解析設計法の開発を推進してきた。また、こうした数値解析法を光ファイバや集積光デバイスの解析設計に積極的に導入し、今日進展著しい光CAD(コンピュータ援用設計)システムの実用化にも大きく貢献してきた。

 具体的には、まず、波動解析における有限要素法の有用性をいち早く認識し、弾性表面波デバイスを皮切りに、マイクロ波・ミリ波回路、光ファイバ、光導波路デバイスなど、様々な光・波動デバイスの解析や設計に、この方法が極めて普遍的に適用できることを実証した。1990年には、この分野としては、我が国最初のテキスト「光・波動のための有限要素法の基礎」(森北出版)を出版し、関連する学術分野に広く貢献するとともに、その普及にも尽力してきた。

 また、同氏は、光導波路が光通信システムの基本部品になるであろうことを予見し、かなり早い段階から光導波路解析技術の開発に取り組み、有限要素法やビーム伝搬法といった数値解析法のみならず、工学的に見通しが良く、導波メカニズムの理解も容易な等価回路理論に基づく方法も独自に考案した。更には、電磁波問題の厳密なフルウェーブ解析において長年の懸案事項になっていたスプリアス解と呼ばれる非物理解の除去法の開発にも世界に先駆けて成功し、光・電磁波工学の分野における有限要素法の実用的価値を不動のものとした。

 以上のように、同氏は、光・電磁波工学の分野における理論的研究で常に学会を先導し、学術の発展に大きく寄与してきた。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2004年、小柴正則氏に業績賞を贈った。


文献

[1] 早田和弥,小柴正則,鈴木道雄、応力付与形偏波保持光ファイバのベクトル波動解析、1986年、電子情報通信学会論文誌,Vol. J.69‐C,No. 1
[2] 辻 寧英,小柴正則,田辺智英、磁気光学材料を含む屈折率差の大きな光導波路に対する有限要素ビーム伝搬法、1996年、電子情報通信学会論文誌,Vol. J.79‐C‐Ⅰ,
No. 2
[3] 齊藤晋聖,小柴正則,辻 寧英、弾性的に任意の異方性を有する光導波路の応力解析法とそのひずみ誘起光導波路解析への応用、1998年、電子情報通信学会論文誌,Vol. J.81‐C‐Ⅰ,
No. 1
[4] M. Koshiba, K.Hayata, and M. Suzuki、Improved finite-element formulation in terms of the magnetic field vector for dielectric waveguides、1985年、IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, Vol. MTT-33, No. 3
[5] M. Koshiba, Y. Tsuji, and M. Hikari、Time-domain beam propagation method and its application to photonic crystal circuits、2000年、IEEE/OSA Jornal of Lightwave Technology, Vol. 18, No. 1
[6] M. Koshiba and Y. Tsuji、Curvilinear hybrid edge/nodal elements with triangular shape for guided-wave problems、2000年、IEEE/OSA Jornal of Lightwave Technology, Vol. 18, No. 5
[7] M. Koshiba, Y. Tsuji, and S. Sasaki、High-performace absorbing boundary conditions for photonic crystal waveguide simulations、2001年、IEEE Microwave and Wireless Components Letters, Vol. 11, No. 4
[8] M. Koshiba、Wavelength division multiplexing and demultiplexing with photonic crystal waveguide couplers、2001年、IEEE/OSA Jornal of Lightwave Technology, Vol. 19, No. 12
[9] M. Koshiba、Full-vector analysis of photonic crystal fibers using the finite element method、2002年、IEICE Transactions on Electronics, Vol. E85-C, No. 4
[10] K. Saitoh and M. Koshiba、Full-vector imaginary-distance beam propagation method based on a finite element scheme: application to photonic crystal fibers、2002年、IEEE Journal of Quantum Electronics, Vol. 38, No. 7

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キーワード

高精度数値解析法、光・電磁波工学、有限要素法、ビーム伝搬法、フォトニック結晶ファイバ・導波路、光エレクトロニクス、光伝送、マイクロ波、コンピュテーション
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