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光周波数分割多重(光FDM)の先駆的研究

100ch 光FDM伝送装置プロトタイプ (1990)

写真1 100ch 光FDM伝送装置プロトタイプ (1990)

128ch 光FDM送信装置(1993)

写真2 128ch 光FDM送信装置(1993)

FSKを用いた100チャネル光FDM伝送/分配実験系の構成 (1990)

図1 FSKを用いた100チャネル光FDM伝送/分配実験系の構成 (1990)

128ch OFDM(DWDM)多重スペクトル(左)と多重キャリアのビート周波数安定度(右)

図2 128ch OFDM(DWDM)多重スペクトル(左)と多重キャリアのビート周波数安定度(右)

 21世紀の情報通信サービスには、「話す」通信から「見える」通信へという変革に代表されるサービスの高度化、多様化が求められると予想される。このような高度なマルチメディアの情報通信サービスを提供するためには、基幹伝送路の大容量化と共に、ノードシステムや加入者系アクセスシステムの大容量化およびこれらサブシステムを有機的に組み合わせたフレキシブルな通信網を実現することが必要である。

 1970年代から精力的に研究開発が進められてきた光ファイバ通信は、現在では国内外の基幹回線に大々的に導入され今日の通信網の骨格を形成している。更に、事業所ユーザを中心として加入者システムにも導入されてきており、21世紀初頭を目指して一般家庭にまで光ファイバを導入する目標で技術開発が続けられている。

 光波は、古典物理的にみれば、無線通信の搬送波と同じ電磁波である。無線通信で使われている搬送波の周波数は、数十GHzまでであるが、光通信で使われている「光(電磁波)の周波数は、約200THz(=200,000GHz)である。しかし、1990年代初頭の当時、レーザの周波数安定性、FM/PM雑音による制限で、光の波長/周波数領域の多重に関しては2波多重程度のシステムしか実用になっていなかった。光ファイバが最も低損失である波長1.5~1.6μmの領域は、周波数帯域に直すと12,500GHzの帯域であり、更に損失3dB/km以下の帯域で見れば200,000GHz以上の帯域がある。光周波数が高度に制御されたレーザを用いれば、広い光周波数帯域を高密度に分割して使用する光周波数分割多重(Optical Frequency Division Multiplexing;以下光FDMと称する)は、将来、柔軟で拡張性のある広帯域通信を実現する新しい多重化技術と期待されている。

 野須潔氏、鳥羽弘氏、河内正夫氏は、光波の電磁波としての性質を積極的に利用する光通信技術の重要性に早くから着目し、システム構成、装置構成および光導波回路に関する先駆的研究を進めてきた。

 野須潔氏は、早くから、コヒーレント光を用いた光通信技術を光の周波数、位相といった「波」としての性質の制御性から体系化することを提唱した。同時に、現在の時分割多重を基本とした伝達系システムの限界を越えることを目指した光FDMを基本とする伝達系システムの構成法に関する先駆的研究をすすめた。

 鳥羽弘氏は導波路型光フィルタが実現される前の段階から光ファイバを用いたマッハツェンダ型フィルタを用いて光FDM基礎実験を行い、以来、多チャネル光源周波数安定化、光チャネル選択・光合分波回路、多チャネル伝送系変復調技術、多チャネル一括光増幅、光周波数配置設計法を中心に光FDM技術の中核となる光FDM回路・装置構成に関する先駆的研究を進めた。

 河内正夫氏は、光ファイバ製造技術とLSI微細加工技術とを融合させた独自の石英光導波路技術の開発により光波の干渉、共振を積極的に利用する光導波回路の作成、光導波路低損失化、実効導波路長数十cmに及ぶ大規模回路の実現、導波路位相・複屈折制御等に関する先駆的研究を進め、多チャネル光FDMいステム用の光導波路フィルタを実現した。

 野須潔氏、鳥羽弘氏、河内正夫氏は、これらの諸技術を集大成して、1990年1月には、100波の光FDM伝送実験を世界に先駆けて成功した。本実験により高密度光多重の可能性が実証され、伝送、交換その他各種光信号処理等への適用可能性が明かになった。

 以上のように、本研究は、今後のテラビット通信の中核となると期待されている光FDM技術の基礎を確立し、電気通信の発展に大きな礎となるものである。

この技術に対して、電子情報通信学会は、1992年、野須潔氏、鳥羽弘氏、河内正夫氏に業績賞を贈った。


文献

[1] Toba, H.; Oda, K.; Nakanishi, K.; Shibata, N.; Nosu, K.; Takato, N.; Fukuda, M、A 100-channel optical FDM transmission/distribution at 622 Mb/s over 50 km、1990年、IEEE Journal of Lightwave Technology, Volume 8, Issue 9, pp. 1396 ― 1401, September 1990
[2] Nosu, K.; Toba, H.; Inoue, K.; Oda, K.、100 channel optical FDM technology and its applications to optical FDM channel-based networks、1993年、IEEE Journal of Lightwave Technology,Volume 11, Issue 5, pp.764 ― 776, May-June 1993
[3] 野須 潔、光波ネットワークの研究動向、1994年、電子情報通信学会誌 77,3,pp.263-270,March 1994
[4] Takato, N.; Sugita, A.; Onose, K.; Okazaki, H.; Okuno, M.; Kawachi, M.; Oda, K.、128-channel polarization-insensitive frequency-selection-switch using high-silica waveguides on Si,、1990年、IEEE Photonics Technology Letters, Volume 2, Issue 6, pp.441 - 443, June 1990
[5] Sadakuni Shimada、Coherent Lightwave Communications Technology、1993年、Ohmsha, Chapman & Hall, 1993

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キーワード

光周波数分割多重、光FDM、光波回路、DWDM、光通信システム、光エレクトロニクス
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