1. HOME
  2. 電気・情報関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号856)

蛍光ランプの点灯周波数が電極からのバリウムスパッタリングに及ぼす影響

補助加熱電流が電極とその近傍のプラズマに及ぼす効果

図1 補助加熱電流が電極とその近傍のプラズマに及ぼす効果

Ba+の発光強度に及ぼすランプ電流と補助加熱電流の効果

図2 Ba+の発光強度に及ぼすランプ電流と補助加熱電流の効果

[従来技術]

蛍光ランプを高周波(数十kHz)で点灯すると特性や使い勝手が大幅に改善できるため、高周波点灯で最大の性能を引きすように設計された「高周波点灯専用形蛍光ランプシステム」の開発が世界的規模で推進されている。

一方その電極設計においては、商用周波点灯(50Hz, 60Hz)で実績のあるコイル設計基準やエミッタ材料が継承されており、最終的に新しい電極を採用するまでには、長い寿命試験を実施して総合的に判断していた。

このような状況を省みて、IECではSOSカーブに基づいた調光条件が議論されている。


[解決すべき課題]

蛍光ランプを高周波で点灯した場合、電極の加熱メカニズムや電極近傍のプラズマの特性が商用周波点灯時とは異なる。従って、高周波で点灯した時の電極及びその近傍のプラズマの特性を商用周波で点灯した時と比較調査し、これらがエミッタ(主にBa)の消耗に及ぼす影響を解明し、それに立脚した電極と点灯条件の設計が必要である。また、新しい電極の開発には試作や評価に長い時間を要するため、これを短縮できる設計技術や評価技術の開発も望まれる。


[課題を解決するための手段]

 蛍光ランプを6Hz~6kHzの矩形波で点灯し、電極温度、BaとBa+の発光強度、をランプ電流及びランプ電圧の位相と関連づけて測定した。また、電子密度と電子温度を測定し、電極温度とBa発光の振る舞いを考察した。

 また、電極と電極近傍の放電を連立させた物理モデルを開発し、Baのスパッタリングと蒸発に及ぼすランプ電流と補助加熱条件の影響をシミュレーションした。


[効果]

 陽極降下が消滅する点灯周波数以上では、電子密度の上昇と電極スポット温度の低下が起きることが確認できた。その結果、陰極サイクルで電極に流入するイオン電流が増加するために、Baのスパッタが顕著に増加することが確認できた。

 これを抑制して寿命を延ばすためには、ランプ電流に対して適切な補助加熱を行うことが有効であることがモデル計算で示され、ランプ電流と補助加熱電流に対するBa+の発光強度と電子密度の測定により検証された。(図1図2


[応用]

以上の基礎研究で得られた結果、及び開発した評価方法とシミュレーションツールを活用し、高周波点灯専用形蛍光ランプシステムの開発と商品化を行った。これらのシステムは発売以降にも特性を改善しており、省エネルギー(高効率)、省資源(長寿命)、保守の軽減(長寿命)に貢献している。(図3)
FHF(T8直管形)システム:1991年
FHC(T5環形)システム:1996年
FHP105システム(T5π形):1997年
FHG(T5角形)システム:2004年
FHW(T5二重角形)システム:2004年

 本研究の成果に対して、照明学会は、2000年、御園勝秀氏(東芝ライテック株式会社), 神藤正士氏(静岡大学), Mr. Joseph T. Verdeyen (University of Illinois at Urbana-Champaign)に「照明学会 論文賞」を贈った。


文献

[1] 御園勝秀、神藤正士、Joseph T.Verdeyen、蛍光ランプの点灯周波数が電極からのバリウムスパッタリングに及ぼす影響、1999年、照明学会誌Vol.83, No.11, pp819-826
[2] 御園勝秀、Effect of Auxiliary Heating on the Barium Loss from the Fluorescent Lamp Electrode under HF Operation、2001年、LS-9, No.73, pp.223-224
[3] Katsuhide Misono,Masashi Kando,
Joseph T.Verdeyen、Plasma Parameter Measurement by the Search Coil Inductively Coupled with a Plasma,、1999年、Jpn. J. Appl. Phys., Vol.38, pp231-237

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

照明
(光源)
照明
(灯具)

関連する出来事

1991年
高周波点灯専用形蛍光ランプと器具の発売 FHF(T8直管形)システム
1996年
高周波点灯専用形蛍光ランプと器具の発売 FHC(T5環形)システム
1997年
高周波点灯専用形蛍光ランプと器具の発売 FHP105システム(T5π形)
2004年
高周波点灯専用形蛍光ランプと器具の発売 FHG(T5角形)システム
2004年
高周波点灯専用形蛍光ランプと器具の発売 FHW(T5二重角形)システム

世の中の出来事

データなし

Webページ

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

電極、点灯周波数、バリウム、スパッタリング、寿命、蛍光ランプ、光源関連材料
Page Top