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日本語ワードプロセッサ用新入力方式:M式(日本電気)に関する技術

新入力方式(M式)によるキーボード

写真1 新入力方式(M式)によるキーボード

新入力方式(M式)鍵盤配置

図1 新入力方式(M式)鍵盤配置

日本電気は,1983年3月,日本語ワードプロセッサ用の新しい入力方式を発表した.


新入力方式は同社の当時特別顧問であった森田正典が開発した方式で後に同氏の頭文字を採ってM式と呼ばれた.


当時,日本語ワードプロセッサの難問とされていた漢字かな混じり文章の入力速度を改善するために,かな漢字変換方式,ローマ字漢字変換方式の他にもペンタッチ方式,いわゆる漢テレ方式や仮名2文字で漢字を入力する連想方式などが実用化されていたが各々長短があった.


森田が開発した新方式は,漢字の音読み発音が5つのパターンに分けられることに着目し,左右の手の位置に合わせて配列された各3段5列のローマ字鍵盤によって入力する方式である(注1参照).この方式では1つの漢字が通常子音(右手)母音(左手)の組み合わせに簡単に入力できるため,JIS鍵盤に比べて文字キーが30個と少なく(JIS鍵盤では48個)また,漢字,かな指定のキー操作も不要である(注2参照).さらに,50音表に準じて鍵盤が配置されているので覚えやすく,操作上無理がなく滑らかに速く入力できることから,かな漢字変換方式などに比べて2倍以上の速度での入力が可能になった.


本入力方式は,同年8月に,PC-8800シリーズ用として製品化され,PCWORD-M(専用キーボード,増設RAMボードとソフトウェアの3点からなる)という名称で販売が開始された.更に,同社はこのM式を採用したパーソナル日本語ワードプロセッサPWP-100で,1984年3月にパーソナルワープロ市場に参入し,その後もM式ワードプロセッサを続々と製品化していった.


注1:

    日本語における漢字の音読みの5つのパターン

    1)可,気,苦,固のような単音で第2音が存在しない単母音型
    2)開,空,経,甲のように第2音が母音で,UまたはIで表音できる複合母音型
    3)漢,金,君,検,混のように第2音が「ん」で,Nで表音できる内音型
    4)格,菊,刻,策,色のように第2音が「く」,「き」で,Kで表音できるK型入声音
    5)活,吉,屈,決,骨のように第2音が「つ」,「ち」で,Tで表音できるT型入声音

    上記の性質を利用して,1)の単母音用,A,I,U,E,Oの他に,2)のタイプ用に,Ai,Ii,Uu,Ei,Ou,3)のタイプ用に,An,In, Un,En,On,4)のタイプ用に,Ak,Ik,Uk,Ek,Ok,5)のタイプ用に,At,It,Ut,Et,Ot,の母音キーを設け,さらに,ひらがな入力専用の単母音キー,a,i,u,e,o を加えた.


    実際の鍵盤では左手で操作する上中下3段のキーがあり,これに右手親指で操作する母音シフトキーと組み合わせて6組の機能を持たせてある.


注2:

    子音用キーとしては,右手側に,K,S,T,N,H,M,Y,R,W,G,Z,D,ん,B,Pの15個のキーを持ち,左手親指で操作する子音シフトキーにより,K-Ky,S-Sy,T-Ty,N-Ny,H-Hy,M-My,R-Ry,G-Gy,Z-Zy,D-Dy,B-By,P-Py にシフトする.


    本方式で,たとえば「特許庁長官」の5文字の入力は,


    (T,Ok)(Ky,O)(Ty,Ou)(Ty,Ou)(K,An)


    の5組の入力で済む.

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日本電気、3段5列のローマ字鍵盤、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ
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