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差分アドレス駆動型セルフルーティングスイッチ技術

差分アドレス駆動型スイッチ

図1 差分アドレス駆動型スイッチ

 ブロードバンド社会の到来に向けて、音声(電話)、データ通信、映像などの多様なサービスを提供できる、統合的なインフラストラクチャの構築が求められている。このようなインフラストラクチャを実現するための核となるのが、大量の通信データを高速に交換・転送する高速大容量ATM(Asynchronous Transfer Mode)システムや高速大容量IP(Internet Protocol)ルータといった通信システムである。高速大容量ATMシステム、高速大容量IPルータともに、性能を大きく左右するのが、通信データのスイッチングを司るスイッチ部である。これらのスイッチ部は、超高速大容量性を実現するために、分散スイッチングの仕組みを取り入れることが主流になってきており、通信データをセルとよばれる固定長のパケットに分割し、そのセル毎に転送先を示すヘッダを付与し、そのヘッダに基づきハードウェアで超高速に転送を行うセルフルーティングを行うことが特徴である。このようなセルフルーティングスイッチは、その構成法、ルーティングアルゴリズム等、様々な技術課題があるが、特に、高いスループット、ノンブロック性、接続のフレキシビリティ(マルチキャストなど)、LSIへの適合性などの要求条件を満足するアーキテクチャである必要がある。これまで、セルフルーティングスイッチとして、バンヤン網に分散網を付与する方式やバッチャバニアン網など数多くの構成が提案されてきたが、これらの要求条件を満足することが出来なかった。

 本技術は、上記の要求条件をすべて満足する新しいタイプのセルフルーティングスイッチ技術であり、差分アドレス駆動型セルフルーティングスイッチ技術と名づけている。セルのヘッダとして、入力されるスイッチ端子と目的の出力端子のアドレスの差分情報を与え、これに基づき高速にルーティングを行う方法をとっており、高速性やスイッチ内でのノンブロック性に加え、マルチキャストを含む接続の柔軟性を持つとともに、故障検出手段を具備することによって故障時の迂回ルーティングをも可能としている。また、スイッチエレメントの配置・配線を規則的な構造にすることが可能であるため、複数のスイッチエレメントからなる基本スイッチをLSI化し、この基本スイッチを結合することで、小規模のスイッチから大規模のスイッチまでを実現することができる特徴を有している。 以上のように、本スイッチは、従来のスイッチでは実現できなかった優れた特徴をもった全く新しいタイプのスイッチであり、この分野における卓越した技術として評価することができる。

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、1989年、漆谷 重雄氏、萩島 功一氏、今川 仁氏に「電子情報通信学会論文賞」を贈った。

 

 =電子情報通信学会ネットワークシステム研究専門委員会編集


文献

[1] 漆谷重雄、萩島功一、今川仁、差分アドレス駆動型セルフルーチングスイッチの構成法、1988年、信学論B、Vol. J-71-B、No. 7
[2] Hitoshi Imagawa, Shigeo Urushidani, and Koichi Hagishima、A new self-routing switch driven with input-output address difference、1988年、GLOBECOM '88

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キーワード

交換システム、情報ネットワーク、スイッチ、セルフルーティング、ATM
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