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通信網設計理論に関する基礎的研究

交換方式設計に関する主要研究成果

表1 交換方式設計に関する主要研究成果

通信網設計理論に関する主要研究成果

表2 通信網設計理論に関する主要研究成果

通信網・交換工学の体系化

表3 通信網・交換工学の体系化

 従来,電気通信網は主として経済性を評価尺度とし,過去の経験をベースとした諸技術の総合システムとして構築されてきた.理論面では通信トラヒック理論やグラフ理論の一部の基礎理論は存在していたが,現実と理論との間のギャップはかなり大きかった.一方,電気通信網の発展は目覚ましく,来るべき高度情報社会の基盤の一つとして,その果たすべき役割はますます大きなものになりつつある.この技術を支え,その発展を促進するための基礎として,通信網理論の構築,体系化は極めて重要である.

 本研究では長年にわたって通信網設計理論に関する基礎研究を進め,理論の構築,体系化に尽力した.すなわち,通信網の構成法,経路選択制御法,高信頼化,異常トラヒック処理,多元トラヒック処理などの設計手法に関して多くの研究論文を発表し,新しい方式提案も行っている.

 通信網構成の分野では,市外電話網階層構成法の最適化,各種分散形通信網の提案と解析,ディジタル統合網の構成法,衛星通信網の構成や可変運用法,加入者系の構成や通信・放送統合網の提案などがある.特にこれからのISDNの中核となるべきディジタル統合網に関しては,本研究で発明された並列PCMスイッチング方式や独立網同期方式と関連して既に1950年代後期(昭和30年代前期)より研究を続けている.また,地域通信網として現在脚光をあびているバス状網や環状網なども世界にさきがけて1960年代半ば(昭和40年代初期)に提案されている.

 中継経路選択などの通信網制御の分野では各種分散形経路選択制御方式,データベースを用いた集中制御方式のトラヒック解析を行って適用領域を明らかにした.また,より本質的な問題として通信網制御特性の定量評価を可能にした「経路利得関数」の提案も特筆さるべきであろう.

 通信網の高信頼化に関しては,各種冗長構成網の特性解析や,グラフ理論を用いた設計手法の提案などがある.また近年,社会的原因や障害などに伴って発生する異常トラヒックが重要検討課題になっているが,異常トラヒックの発生や伝搬メカニズムを解明すると共に,高密度トラヒック網の解析を行い,情報理論的手法を導入した新しい評価尺度として「トラヒックパターン異常度」を定義した.異常トラヒック処理法としては,拡大う回中継方式,各種トラヒック規制方式,「可変通信網」の提案などがある.

 各種通信サービスを総合化するディジタル統合網設計上の重要研究課題の一つに多元トラヒック処理がある.この分野においても1960年代半ば(昭和40年代初期)から先駆的な研究を行い,その設計手法を確立し,方式分類や体系化を行っている.現在広く定着している「多元トラヒック処理」の用語は、この研究の過程で命名されたものである.

 更に本研究では,これらの研究を背景として「通信網工学」,「近代通信交換工学」などの著書を発表し,その中で通信網理論の体系化を行っている.

 以上のように,この研究成果は通信網理論の構築,体系化に貢献するところが多く,また来るべき高度情報通信網の設計に対しても幾多の指針を与えるものであり,この分野の進歩に寄与するところが極めて大きく,その業績は誠に顕著なものがある.

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会(旧称:電子通信学会)は、1985年、秋山 稔氏に「電子通信学会業績賞」 と「第1回小林記念特別賞」を贈った。


=電子情報通信学会ネットワークシステム研究専門委員会編集


文献

[1] 尾佐竹徇,秋山稔、AO-1形全電子交換機並びに時分割方式の考察、1959年、信学誌 Vol.42, No.4
[2] 尾佐竹徇,秋山稔、並列PCMスイッチング方式、1960年、信学誌 Vol.43, No.6
[3] 尾佐竹徇,秋山稔,高羽禎夫,西沢正男、独立同期PCM中継方式、1964年、信学誌 Vol.47, No.2
[4] 秋山 稔, 堀 好憲、環状交換回線網、1967年、信学誌 Vol.50, No.9
[5] 山口武彦, 秋山 稔、多元トラヒック処理に関する検討-伝送速度変化方式-、1970年、信学論 Vol.53-A, No.10
[6] 秋山 稔, 村田初穂、通信網制御の評価法-経路利得関数の提案-、1976年、信学論 Vol.59-A, No.12
[7] M. Akiyama、Variable Communication Network Design、1979年、ITC'79, Torremolinos Spain
[8] 山下幹夫, 秋山 稔、通信網の階層構成、1981年、信学論 Vol.J64-B, No.4
[9] 秋山 稔、近代通信交換工学、1973年、電気書院
[10] 秋山 稔、通信網工学、1981年、電子通信学会編,コロナ社

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1985
つくば市で科学万博が開幕する。
1985
電電公社が民営化され、NTTが発足する。

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キーワード

情報ネットワーク、交換システム、通信トラヒック理論、ディジタル統合網、多元トラヒック処理
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