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視覚信号に立脚した空港照明システムの開発

静的実験用のシミュレーション装置と視覚パターン

図1 静的実験用のシミュレーション装置と視覚パターン

動的実験用のシミュレーション装置と視覚パターン

図2 動的実験用のシミュレーション装置と視覚パターン

新工法用の試作灯器と試作ベースボックス

図3 新工法用の試作灯器と試作ベースボックス

現場実用試験の試験フローと走行試験車

図4 現場実用試験の試験フローと走行試験車

各種のVASISと実験状況

図5 各種のVASISと実験状況

各種のプロト試作灯器

図6 各種のプロト試作灯器

各種の除雪機械による埋込灯器への影響実験

図7 各種の除雪機械による埋込灯器への影響実験

PAPIシステムの見え方

図8 PAPIシステムの見え方

進入・滑走路灯火の角膜照度分布

図9 進入・滑走路灯火の角膜照度分布

航空灯火のパターン評価実験状況

図10 航空灯火のパターン評価実験状況

 [従来技術]

 我が国の空港システム(航空灯火)は、複合された多数の灯火群による視覚実験データがないことから、新しいICAO(国際基準)への対応から国内基準の見直しが必要とされた。

 [解決すべき課題]

  空港照明システムの基本である視覚信号特性の要件を明らかにし、ICAO(国際民間航空機関)基準の勧告への対応を含む新技術を確立する。

 [手段]

  大学・学会・運輸省・空港公団・航空会社・照明機器メーカー等多方面からの協力を得て、小原教授(理科大)を中心とする研究・技術・基準の3グループの研究チームによって実験研究を行う。

 [効果]
 (1)空港照明システムの視覚信号特性の要件を明確化した。
 (2)航空灯火の設置基準を理論付けた。
 (3)新しいICAOの要求に対応する新型灯器を試作開発した。
 [応用]

 成田空港をはじめ、全国の空港整備に新技術が導入された。

 

 

 本件に関する「調査研究報告書名」(完成年月)は下記の通りである。

 ◎1977年(昭和52年)度
 (1)「航空灯火の試験研究」一進入・滑走路灯火の組合せ評価研究一(1978年(昭和53年)3月)
 ◎1978年(昭和53年)度
 (2)「進入・滑走路灯火の試験研究」一移動観測装置による灯火パタニンの動的な見え方シミュレーシヨン実験一(1979年(昭和54年)3月)
 (3)「航空灯火調査研究」一新しいICAOの要求に対応する標識灯および埋込方式一(1979年(昭和54年)3月)付「欧米航空灯火調査報告書」(1979年(昭和54年)3月)
 ◎1979年(昭和54年)度
 (4)「航空灯火現場実用試験に係る試験計画の調査研究」(1980年(昭和55年)1月)
 ◎1980年(昭和55年)度
 (5)「進入角指示灯(VASIS)の新システム方式の調査研究」(1981年(昭和56年)5月)
 ◎1981年(昭和56年)度
 (6)「航空灯火用地上型灯器仕様開発調査」一グループテクノロジー探用一(1982年(昭和57年)3月)
 ◎1982年(昭和57年)度
 (7)「積雪地用埋込灯器仕様開発調査」(1983年(昭和58年)3月)
 (8)「PAPI用灯器の開発およびPAPIシステムの信頼性と運用評価方法の調査研究」(1983年(昭和58年)3月)
 (9)「航空灯火の適正光度に関する調査研究」(1983年(昭和58年)3月)
 (10)「航空灯火のバターン評価に関する調査研究」 (1983年(昭和58年)10月)
 

 

 [航空灯火調査研究チームによる業績の詳細説明]

 この一連の研究テーマは、1968年(昭和43年)から10年問にわたって行った研究成果が基礎となって、航空灯火における空港照明システムに対する諸問題を解明するために編成された。本チームは3人の代表されるグループを3組で編成され、各グループとも大勢の協カ者によって支持された。これらの協カ者なしではこれだけの業績を挙げることは困難であろう。本チームの構成は、大学、官庁、空港公団、製造会社、航空会社、保守業務の会杜等多方面である。これらの中(主に航空局、空港公団)からテーマが挙げられ、委託研究として(社)照明学会が契約して活動・実施を受持つのがこのチームである。

 本チームによる研究テーマを系統的に大別すると4項目(A~D)となり、該当する研究報告書(1)~(10)の各テーマは下表のように分類される。

 A 視覚信号バターンの見え方特性に関するもの
 ・静特性・・・・・・・・・・・・・・・研究報告書(1)
 ・動特性・・・・・・・・・・・・・・・ 〃 (2)
 ・工事中の一部消灯パターン評価・・・・ 〃 (10)
 A-1進入・滑走路灯火の静特性についての研究

 本研究の特徴は、シミュレーション装置による縮小模型での見え方実験である。これまでにこのような複合された多数の灯火群による視覚実験データがなく、始めての結果が得られた。

 ただし、これがこの年に実施できたものではなく、このチームが昭和43年発足以来、灯火パターンの要素となる信号灯火の各種実験を重ねて来た最終段階として得られたもので、これは10年目の年の9番目の研究であり、一朝一タにできたものでない。

 A-2進入・滑走路灯火の動特佳についての研究

 本研究は、上記静特性に対応して動的持性を調べるために、縮尺1/25の滑り台付模型装置を作り、航空幾が進入して滑走路に着地するまでの経過に合せた時問経過で滑り台を降下して見え方実験を行ったものである。

 1/10縮尺の米国実験妾置には及ばないが、三次元空間に移動時間を加えて四次元の変化を持つ見え方実験は始めてであり、その成果は以後の諸テーマに対応してゆく基礎として多大の重要性を有するものである。

 A-3工事中の一部消灯バターソ評価のシミユレーション実験

 CRT並びにパイロットの操縦訓練に使用するフライトシミュレータを使ってのラインパイロット50余名による評価実験で、これによって工事中または保守の限度として滑走路灯火(ただし滑走路周辺灯は点灯)をどこまで不点または消灯できるかを確認したものである。

 

 B 埋込型灯火設置に関する工法の調査開発
 ・埋込配管工法・・・・研究報告書(3)の埋込工法に関する部分
 ・同実用試験計画・・・   〃  (4)
 B-1 切込・接着方式に対する改善案と埋設・配管方式の新提案

 国内及び欧米主要空港における現状調査も行い、従来工法の「切込接着方式」の改善案とともに、わが国にとっては抜本的ともいえる「埋設・配管方式」に関する新提案が行われた。

 B-2 航空灯火現場実用試験と係る試験計画

 前項で提案された新工法の試験計画書に従って野比試験場(運輸省港湾技術研究所)において試験舗装の中へ試作灯器を設置し、現場実用試験が実施され、その長所が確認された。新しい試験方法としてベースボックスの種類と灯器基礎構造との比較試験及び試作灯器による荷重・強度の試験として初めて実機の主車輪を装備した「原型走行荷重試験車」が導入された。

 その後、成田空港の誘導路及び滑走路において実機走行による供用試験が実施され新工法並びに新型灯器の実用化が達成された。

 C 各種灯器の開発に関するもの
 ・埋込型灯火の開発・・・・・・研究報告書(3)の灯火に関する部分
 ・                〃 (7)積雪地への対応
 ・新しい進入角指示灯開発・・・研究報告書(5)
 ・  〃 (8)
 ・地上型灯器の開発・・・・・・研究報告書(6)
 C-1 高劾率埋込型灯火の調査開発

  上記の(3)報告書によって新しく次の2提案が示されている。

 ①埋込型標議灯要求事項書(案)       

 ②ベースボックス要求事項書(案)     

 ①の灯器については新しいICAOの要求に対応する標識灯のプロト試作が行われ、軽合金製の小型・高効率化の要求事項書(案)がまとめられた。その後ベースボックスと組合せた試験結果から更にメーカによる試作改良が進められ、実用試験を経て実用化された。(B-2 航空灯火現場実用試験と係る試験計画関連)

 灯器の試作品が積雪地での除雪作業にどの程度まで耐えられるかの試験が1983年(昭和58年)1月、報告書(7)のテーマで行なわれた。この結果によって埋込用新型灯器の適用範囲が拡大された。

 C-2 新しい進入角指示灯の闘発

 進入角指示灯は、海外では種々な方式が実用されている。わが国での現用方式もその1つであるが、最近1CAOから出された勧告では、1985年以降はわが国現用の方式は設置禁止となり、1990年以後は廃止して新方式に切り替える必要が生じている。このような状況にあって現用方式の見通し、新方式の探索を行ったのが、研究報告書(5)である。英国で開発された新方式の"PAPI"と称する方式が適当であることが予測され、ICAOの勧告によって明確に方向づけられたので、1982年(昭和57年)度にはテーマとして「PAP1用灯器の開発及びPAPIシステムの信頼性と運用評価方式の調査研究」が決り、実験評価に基づいて基準化を行ったものである。

 

 D 航空灯火の運用、保守の基準に関するもの
 ・航空灯火の適正光度・・・・・・研究報告書(9)
 進入・滑走路灯火の適正光度は以前からの検討課題であったが、いよいよ国際的にも見直す時期に入り、従来の制御方式である5段階のステップ変化から7段階ステップ変化に移行する研究テーマが研究報告書(9)である。

 パイロットによる灯火の見え方を基準とした考え方により理論的考察を進め、新しい光度制御方式を提案した。

 本研究により得られた新方式を実用化するには、更なる検討が必要となる。


 本研究の成果に対して、照明学会は、1982年、 小原清成氏(東京理科大)、藤井克人氏(法政大)、 川嶋宏氏(交通安全研)、中野朋平氏(空港公団)、川内晟宏氏(東芝電材)、鹿股晃氏(小糸工業)、丹羽正臣氏(航空局)、平山高書氏(空港公団)、野間聖明氏(操縦士協会)に「照明学会 日本照明賞」を贈った。


文献

[1] K.Obara, T.Hirayama, K.Fujii and S.Takahashi、Basic study on visual effectiveness of airports colored lights.、1981年、"J, of light and visual Enviroment"1981 vol.51 No.1 pp28~33
[2] K.Obara, K.ikeda, and M.Nakayama、Visual appearance of sequence of signal light、1980年、CIE Pub,No.50 (1980)pp392~398

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キーワード

空港照明システム、空港、航空灯火、パイロット、配光、光度制御、角膜照度、灯器、屋外照明技術、視覚、光計測、その他(照明器具)
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