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低気圧放電管の電圧電流低周波特性モデルと、それを用いた磁気飽和進相型安定器の動作特性モデル

磁気飽和進相型安定器の回路図と鉄心構造図

図1 磁気飽和進相型安定器の回路図と鉄心構造図

放電電圧電流特性モデルによる放電電圧・電流波形

図2 放電電圧電流特性モデルによる放電電圧・電流波形

開発モデルによる放電電圧電流波形の実測との比較

図3 開発モデルによる放電電圧電流波形の実測との比較

再点弧電圧上昇による1/2調波振動発生シミュレーション

図4 再点弧電圧上昇による1/2調波振動発生シミュレーション

[従来技術]

 磁気飽和進相型安定器は、コスト/特性が極めて優れた方式であるため、ラピッドスタート型蛍光ランプ点灯で最も広く使用されてきた。すなわち(1)入力力率が95%以上、(2)発光効率が基準になるチョークコイル方式より数%高い、(3)電源電圧変動に対し出力変動が小さい、(4)波形歪のある電源電圧でも入力電流波形が歪まない、(5)2灯直列点灯とすれば1灯あたりの点灯回路コストは各種点灯方式の中で最少である、の特色がある。


[解決すべき課題]

 磁気飽和進相型安定器は典型的な非線形特性である磁気飽和特性と直列コンデンサーとの鉄共振現象を利用している。また負荷である放電管も電圧電流特性が負である非線形特性を有しているため、例えば1/2調波振動のような特異な現象を示すことでも知られている。このため磁気回路の最適設計が難しく、不適切な設計では発光効率が低下したり、ランプ雰囲気温度が低い場合、1/2調波振動が生じて発光にチラツキが発生するなどの難点を抱えている。この磁気飽和進相型安定器の動作特性に対する適当な解析手法が無かったため、従来、設計はもっぱらカット・エンド・トライで行われ、1器種開発するにも多大な時間と労力を要していた。このため磁気飽和と放電特性という2つの非線形特性とコンデンサーの組合せ回路での動作特性を解析できるシミュレーション手法の開発が望まれていた。


[手段]

 開発したシミュレーションプログラムは、低圧放電ランプの代表である蛍光ランプの電圧電流特性モデルと磁気飽和進相型安定器の特性モデルからなる。放電電圧電流特性モデルとしては、ボルツマン輸送方程式に基づくプラズマモデルと、抵抗とインダクタンスの直列回路で近似する簡易モデルが知られていた。プラズマモデルは現象を精確に解析する目的に使用するが、物理係数が分かっていなければならず、また解が収束しない場合があるなどの問題点がある。一方、簡略モデルは概略計算にしか適用できない。そこでランプの電圧電流実測波形から係数を与える放電モデルを提唱し、低温を含む広い範囲で放電電流波形を十分な精度で表現できる放電特性モデルを開発した。次に磁気飽和部を持つ磁気回路について、鉄心形状の部分毎に磁性体損失項を含む等価回路を導いた。


[効果]

 開発した解析モデルによる放電電圧電流波形は実測波形をよく表現できる。また放電ランプ低温時の特有な1/2調波振動も正確に再現できる。磁気回路等価回路モデルは鉄心各部に対応しているため、鉄心形状と放電出力特性との対応を容易に知ることができる。このモデルにより磁気飽和進相型安定器の低温時を含む動作解析が可能になった。


[応用]

 今回開発した放電モデルは高周波放電にも適用できるものである。また磁気回路等価モデルは鉄心形状と動作特性の関係が明確であるため磁気回路設計には極めて有効な手法である。


 本研究の成果に対して、照明学会は、1994年、渡辺良男氏(神奈川大学)に「照明学会 論文賞」を贈った。


文献

[1] 渡辺良男、低気圧放電管の電圧電流低周波特性モデル、1992年、照学誌、76巻2号、pp.68-73 (1992)
[2] 渡辺良男、磁気飽和進相型安定器の動作特性モデル、1992年、照学誌、76巻6号 pp.287-293 (1992)
[3] 渡辺良男、等価モデルによる磁気飽和進相型安定器の動作解析、1993年、照学誌、77巻10号、 pp.603-613 (1993)

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キーワード

蛍光ランプ、回路解析、非線形特性、1/2調波振動、磁気回路、進相型安定器、点灯回路・制御システム、蛍光ランプ
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