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ゴースト対策の研究開発と実用化

ゴーストアナライザー

図1 ゴーストアナライザー

ビルにおける傾斜壁面反射波測定実施例

図2 ビルにおける傾斜壁面反射波測定実施例

可変指向性ゴースト防止アンテナ

図3 可変指向性ゴースト防止アンテナ

テレビ放送の画質劣化の原因百分率(%)

表1 テレビ放送の画質劣化の原因百分率(%)

近年,都市における建造物の高層化により,テレビジョン放送の受信において,電波のしゃへいと反射に基づくいわゆるゴースト障害が著しく増大し,大きな社会問題となっている.この問題の解決のためには,発生源の特定と,受信アンテナ系の改善,共同受信設備の設置などを含め,個々の場合に応じて適切な種々の改善対策の開発が要請されている一方,その円滑な推進を図るため,現象の解明と共に,測定法,測定器の開発,障害の程度や範囲の判定に関する客観的評価手法の開発が,強く望まれていた.

本研究では,まずゴースト障害の原因となる都市構造を含めた多重伝搬現象の解明にあたり,障害の程度が直接波と反射波の振幅比のほか,両者の高周波での位相差,遅延時間,反射波の数,放送の絵柄などに関係し,両者の位相差が伝搬路での屈折率によって変化するため,ゴースト障害は季節的,時間的に変動することなどを明らかにし,次いで多重波を分離してこれらの物理量を測定する手段を考案して,世界に先駆けて測定器を開発し,これらの精度のよい測定を行った.更に,これらの物理量に視覚心理効果の加重を行って合成した変量「基本評価DU比」が従来の主観評価尺度と強い相関を有することを示すことによって,複数ゴーストの主観評価の定量化への道を開いた.

一方,具体的な対策面においても,受信点のおかれた状況等を考慮しつつ,各種のゴースト対策用受信アンテナを開発すると共に,フェライトタイルを用いた電波吸収壁を開発実用化するなど,その総合的な推進にあたった.

これらの成果は,郵政省の専門委員会の活動等を通じて,国および関係機関が行っている対策活動の有力な手法として貢献している.又,電波吸収壁は,東大阪市下水処理施設や青森県立病院で実用に供せられ,その効果が極めて高いことが確認されている.これは世界初の試みとして注目され高く評価されている.

以上のように,この研究はテレビジョン放送電波の複雑なゴースト現象を根本的に解明したものであり,測定手法の開発とその具体化,更に複数ゴースト障害の統一的評価手法の開発を行ったことは,世界初の電波吸収壁の開発実用化などの具体的対策を推進したことと併せて,テレビジョン放送受信技術の向上に大きく貢献したものであり,その業績は極めて顕著である.

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会(旧称:電子通信学会)は、1981年、 遠藤 幸男氏と 滝沢 武氏に「電子通信学会業績賞」を贈った。


電子情報通信学会環境電磁工学研究専門委員会編集


文献

[1] 遠藤幸男、ゴースト現象についての考察、1974年、放送技術,昭和49年7月号
[2] 遠藤幸男、建造物による受信障害(受信障害対策)、1975年、テレビジョン誌,29巻,4号
[3] 遠藤幸男、都市におけるテレビジョン受信障害対策、1978年、電子情報通信学会誌,Vol.61,No.7

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キーワード

環境電磁工学、テレビジョン放送、ゴースト、受信アンテナ、電波吸収壁、放送システム、受信障害、環境電磁工学
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