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天空輝度分布の国際的標準化(日本照明賞:天空輝度分布の国際的標準化とCIE技術委員会TC-309の活動)

(a) 絶対値で示した三つの天空の輝度分布の例(太陽高度:50°)晴天空(天頂輝度:5.59〔kcd/㎡〕)

図1 (a) 絶対値で示した三つの天空の輝度分布の例(太陽高度:50°)晴天空(天頂輝度:5.59〔kcd/㎡〕)

(b) 絶対値で示した三つの天空の輝度分布の例(太陽高度:50°)中間天空(天頂輝度:9.00〔kcd/㎡〕)

図1 (b) 絶対値で示した三つの天空の輝度分布の例(太陽高度:50°)中間天空(天頂輝度:9.00〔kcd/㎡〕)

(c) 絶対値で示した三つの天空の輝度分布の例(太陽高度:50°)曇天空(天頂輝度:9.66〔kcd/㎡〕)

図1 (c) 絶対値で示した三つの天空の輝度分布の例(太陽高度:50°)曇天空(天頂輝度:9.66〔kcd/㎡〕)

中村・沖の方法によるわが国におけるMean Skyの輝度分布

図2 中村・沖の方法によるわが国におけるMean Skyの輝度分布

[従来技術]

 昼光照明(窓や天窓からの昼光を光源とする照明)の計画や設計では、天空光すなわち天空の輝度分布を想定しなければならない。

 CIE(国際照明委員会)は1955年にCIE標準曇天空(天空全体が厚い雲に覆われ、太陽の位置が不明である曇天)を推奨した。さらに1973年にCIE標準晴天空(雲のない快晴の天空の輝度分布)を推奨した。しかし、現実の天空の輝度分布は時々刻々変動する。また、CIE標準曇天空やCIE標準晴天空に近似した天空輝度分布が出現する確率は比較的小さい。したがって、CIE標準曇天空やCIE標準曇天空、あるいは、天空の輝度が一様であると仮定する、いわゆる一様天空のいずれかを天空輝度分布として、昼間照明の計画や設計を行うのは適切でないと考えられた。

 実際に現れる天空の輝度分布に近い輝度分布によって昼間照明の予測や評価を行い、昼光を有効に利用しようという考えに基づいて、年間に出現するすべての天空を平均した平均天空に関するいくつかの研究が、1978年頃以降行われた。これらには、年間の天空輝度の連続測定によって平均天空を作成するものと、晴天空と曇天空との中間の状態の天空、いわゆる中間天空を考え、それらの天空のそれぞれの出現頻度を重みとして平均的な天空を構成するものとがあった。


[解決すべき課題]

 要約すれば:それまで昼光照明設計は天空輝度分布が一様、または、CIE標準曇天空とし仮定して行われていた。CIE標準曇天空に加えてCIE標準晴天空が推奨されていたが、前者は実際に現れる天空とは異なり、後者も同様で、しかも後者は昼光照明設計に取り入れるには複雑であり、いずれも実際的ではなかった。


[手段]

 沖・中村らは、CIE標準曇天空とCIE標準晴天空の中間の天空状態の天空輝度分布を表す中間天空(Intermediate Sky)を、実測データをもとに構築し、この三種の天空の年間の出現する頻度を年間の平均日照率から求め、これによって重みづけをして平均する平均天空(Mean Sky)を提案し、平均天空による新しい昼光照明の設計法を提唱した。

 この天空輝度分布を国際化するためにCIEの昼光照明技術委員会(TC-309)に松浦は委員長とし、沖は幹事として各国からの委員に説明し、検討を要請し、その結果を技術報告書にまとめた。


[効果]

 その後、この研究をベースにして、京都大学の上谷委員らが中心となって、2003年に「CIE規格:天空輝度分布・CIE標準一般天空」(CIES011/E)として規格にまとめられている。


 この天空輝度分布の国際標準化作業の功績に対して、照明学会は、1987年、松浦 邦男氏(京都大学)、沖 允人氏(名城大学)に「照明学会 日本照明賞」を贈った。


文献

[1] 沖 允人、中村 洋、天空輝度分布の標準化の展望、1989年、照明学会誌、第73巻、第7号、平成元年(1989) pp.6-12
[2] H. Nakamura, M. Oki, Y. Suzuki、Review of Standardization of Luminance Distribution of Sky, Inspection of the daylighting interior luminous environment predicted upon the newly improved Mean Sky、1986年、Proceedings of the 1986 International Daylighting Conference, U.S.A., pp.115-119

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キーワード

天空輝度、昼光照明、昼光率、天空輝度分布、CIE標準一般天空、昼光照明設計、光計測
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