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ロケット誘雷による電力施設の雷害防止技術の開発

雷さんつかまえた

図1 雷さんつかまえた

上向き枝分かれ放電

図2 上向き枝分かれ放電

誘雷放電技術

図3 誘雷放電技術

自動車への誘雷

図4 自動車への誘雷

ヘアピン効果ありや

図5 ヘアピン効果ありや

音響法による雷放電経路のリアルタイム再現

図6 音響法による雷放電経路のリアルタイム再現

試験送電鉄塔への誘雷

図7 試験送電鉄塔への誘雷

送電鉄塔アームからのコロナ放電電流の測定

図8 送電鉄塔アームからのコロナ放電電流の測定

 アメリカ、フランスなどに次いで、堀井(名古屋大学教授当時)らが1976年ロケット誘雷実験グループを組織し、1977年12月22日02:01に我が国初のロケット誘雷成功を収めた。地上電界は+9.6kV/m, 誘雷高度166.5m、電流ピーク値3kAであった。以来1998年までの正味20年間に国内で187回、エアー砲2回記録した。冬季雷を対象とする実験は、石川県河北潟干拓地内(1977年から1984年)、次いで石川県奥獅子吼山頂付近(1985年から1998年)で行った。

 日本でのロケット誘雷の目的は、雷放電現象の解明と電力施設の雷災害防止である。種々のロケット誘雷技術を考案するとともに、誘雷の過程で固有の雷放電現象を呈することや、自然雷放電現象との相違が明らかとなった。これにより自然落雷に類した誘雷技術の開発も行った。一方、ロケット誘雷は自然雷の巨大なエネルギーや500Cを超える電荷を利用する超長ギャップ放電であり、超ギャップ雷撃特性の解明や様々な統計データが取得された。また電力設備の耐雷・避雷性能の検証試験も並行して実施された。

 河北潟は日本海に面し海抜ゼロメートルであり、日本海から飛来する雷雲は気象衛星画像に見られるように十数キロメートルに亘る長い帯状で、地上電界の極性は正負に交互にゆっくりした変化を呈する。雲底は500m程度と低い。一方、日本海から20km内陸に位置する奥獅子吼山(標高約1000m)では山頂付近は雷雲で覆われるため、地上電界は極めて頻繁に正負を繰り返し、十数メートル離れた地上電界は異なる極性を示す事例が多くあった。

 主な観測データの概要を示すと、平均誘雷高度は、正極雷で137m、負極雷で132mである。電流波高値の平均は、正極性+15kA、負極性-4.5kA、放電電荷は、正極性で+100C、負極性で-55C程度である。放電電流継続時間は140msである。

 河北潟および奥獅子吼での誘雷実験では、実雷を利用した各種実雷試験を行った。主なものを列挙すると下記のとおりである。(1)模擬配電線誘導電圧測定、(2)ワイヤに直列に接続したインダクタンス、抵抗により異常雷の生起。(3)ヘアピン効果、(4)自動車への直撃雷、(5)小ギャップ間の雷アーク電力・エネルギーの計測、(6)試験送電線への直撃雷試験、(7)アレスター耐雷性能評価試験、(8)短尺架空地線の耐雷性能試験、(9)雷管石の生成、(10)限流避雷針の効果検証、(11)鉄塔誘雷による送電線雷撃パラメータの統計データ、(12)送電鉄塔塔脚電流・電圧特性の把握、(13)音響法による雷放電経路の再現、などである。

 また熱帯地域の夏季雷を対象とするロケット誘雷実験は、国際共同研究の一貫としてインドネシアジャワ島で実施され(7)(1989年から1995年)誘雷成功は18回を数えた。実験場はジャワ島ボゴール地区、標高1400mの山中茶畑の中で行われた。負極性雷の割合が多く、最大電流は-16kA、数kA程度以下の小さな雷電流が多かった。

日本でのロケット誘雷は冬季雷を、インドネシアでは熱帯夏季雷を対象にしており、観測データや統計データに基づいて雷放電現象の相違を比較検討することができた。

 電気学会は、この成果を称えて、堀井憲爾氏 , 中村光一氏 , 角 紳一氏 , 宮地 巖氏 , 饗庭 貢氏に1990年「電気学術振興賞進歩賞」 を贈呈した。


文献

[1] 宮地 巖(著者代表)、他10名、北陸における昭和53年12月冬期ロケット誘雷実験、1979年、電気学会論文誌B, Vol.昭54-8
[2] Y.Kito, K.Horii, Y.Higashiyama, K.Nakamura、Optical Aspects of Winter Lightning Discharges Triggered by the Rocket-Wire Technique in Hokuriku District of Japan、1985年、J. of Geophysical Research, Vol.90, No. D4
[3] K.Horii, H.Sakurano、Obsevation on Final Jump of the Discharge in the Experiment of Artificially Triggered Lightning、1985年、IEEE/PES Winter Meeting, 85 WM 205-0

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電気・電力
(電気基礎技術)

関連する出来事

1979年4月
ロケット誘雷による電気施設に対する雷害防止の研究:文部省科学研究費補助金
1981年4月
高速飛行体による誘雷方式の開発と電力線路の冬期雷害対策の研究:文部省科学研究費補助金
1996年4月
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世の中の出来事

1990
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1990
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キーワード

ロケット誘雷、放電様相、電力施設、雷害防止、冬季雷、放電
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