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世界最大容量805MVA水車発電機の完成

  • 写真なし阿南 恒俊
  • 写真なし古山 昌之
  • 写真なし森 与志彦
グリ第二発電所全景

写真1 グリ第二発電所全景

世界最大容量805MVA水車発電機回転子吊り込み

写真2 世界最大容量805MVA水車発電機回転子吊り込み

世界最大容量805MVA水車発電機固定子

写真3 世界最大容量805MVA水車発電機固定子

世界の水車発電機の単機容量の推移

図1 世界の水車発電機の単機容量の推移

世界最大容量805MVA水車発電機断面図

図2 世界最大容量805MVA水車発電機断面図

 ベネズエラ国、カロニ河電力公社(略称EDELCA)グリ第二発電所は世界最大容量805MVA水車発電機10台を持つ世界最大級の水力発電所である。ここに納入される発電機10台の国際入札が1976年3月に行なわれ、同年9月(株)東芝を幹事とする(株)日立製作所、三菱電機(株)および西独連合(略称JWG)はその総合技術力を高く評価された結果、世界競合メーカを抑えてそのうちの5台の受注に成功し東芝が2台、日立・三菱・西独シーメンス3社が各1台製作分担することになった。

 空冷機として世界最大容量805MVA水車発電機の初号機となる13号機がベネズエラ国グリ第二発電所において昭和59年3月に営業運転を開始した。

 客先よりJWGの納入する各発電機について同一仕様・同一設計とすることを強く要求されたことより、本機の設計にあたっては東芝を設計幹事として、日本3社で共同設計を行ない共通製作図面を作成、これらに基づき各社で担当機器を製作し、さらに励磁装置、スラスト軸受およびガイド軸受などで1社で5台分を一括製作するなどのいわゆる水平分業方式を採用するという極めて画期的な形態が採用された。

 世界最大容量機としてはアメリカのグランドクーリⅢ機(825MVA)やブラジルのイタイプ機(823.6MVA)があるが、いずれも直接水冷機であり、従来よりこの容量クラスの水車発電機は水冷機の製作容量範囲とされてきた。一般に発電機の単機容量が増大すると鉄損・銅損・風損などの諸損失も非常に大きくなるため、冷却を強化して発生損失を効果的に取り去る工夫が必要となる。本機において空気冷却方式と固定子巻線直接水冷却方式を詳細に比較検討した結果(1)直接水冷方式としては、はずみ車効果(GD2)要求値が大きすぎることおよび過渡リアクタンス制限値が小さすぎることから機械のコンパクト化という本来の利点が生かされない。(2)直接水冷方式は複雑でデリケートな機械となるため、現地据付工事も難しく、工事期間も長くなるため工事費用がかさむ。さらに運転後の保守に余分の手間がかかるなどの理由から空気冷却方式を採用することが総合的な見地から得であるとの結論に達し、冷却方式として空冷式が採用されることとなった。記録的な空冷式大容量機でもあり機械的寸法も巨大となるため、通風と冷却に関し縮尺1/7の通風モデルを製作し理論計算値の検証試験を実施したほか東芝・日立・三菱3社の技術力を結集し総力を挙げた種々の設計上と製作上の技術検討や工夫を重ねて製作・据付されたものである。今回同機が営業運転に入ったことにより、低速大容量機において世界最高水準の技術を実現できた意義は大きい。本機の完成は日本の技術力の高さを示すものとし、また本機の共同設計を通じ各社間の技術の交流および向上を可能としたものである。

 本研究の成果に対して、電気学会は、1985年、阿南 恒俊(東芝)、古山 昌之(日立製作所)、森 与志彦(三菱電機)に電気学術振興賞(進歩賞)を贈った。

文献

[1] 阿南恒俊、岡崎慎一、宮本芳明他3名、世界最大容量805MVA水車発電機、設計に関する新技術と設計思想についての紹介、1979年、東芝レビュー(34巻1号)
[2] 阿南恒俊、藤田寿一郎他5名、World's Largest Capacity Air-cooled Hydro-Generator、設計に関する新技術と設計思想についての紹介、1979年、TOSHIBA REVIEW No.122

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1985
つくば市で科学万博が開幕する。
1985
電電公社が民営化され、NTTが発足する。

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キーワード

交流発電機、空気冷却方式、共同設計、固定子巻線、通風方式、回転機、水力発電
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