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バッテリー駆動30kW DCブラシレスサーボモータの開発

  • 写真なし仙波 実
  • 写真なし上瀬 長弘
  • 写真なし中村 寿亨
モータ、ドライバ外観

写真1 モータ、ドライバ外観

蓄電池機関車外観及び使用状況

写真2 蓄電池機関車外観及び使用状況

重連蓄電池機関車と連結されたシールド台車

写真3 重連蓄電池機関車と連結されたシールド台車

モータの主な仕様

表1 モータの主な仕様

 1993年当時、実用化されているDCブラシレスサボモータは、国内では数kW以下であり、30kWのような大容量のものが実用化された例は無かった。また、国外においてもヨーロッパで潜水艦用モ-タとして検討された例はあったが実用化された例は無かった。

 今回、トモエ電気工業殿から蓄電池機関車(バッテリロコモティブ)駆動用モータとして、大容量DCブラシレスサーボモータの開発を依頼された。従来、蓄電池機関車には、直流直巻電動機が使用されてきたが、メンテナンスフリー、負荷時耐量の増強及び無人自動運転等を志向する目的から、今回定期交換部品が不要で制御性の良いDCブラシレスサーボモータの採用が望まれた。

 このDCブラシレスサーボモータは永久磁石タイプ同期式ACサーボモータといわれるもので、一般に使用されている誘導式ACサーボモータと比較し、界磁ロータ構造の堅牢さに劣ることや、高性能で耐熱性に優れた界磁磁石の開発が困難であることにより、その高制御性や高効率及びメンテナンスフリーの特長にも拘らず、当時、実用化されるに至らなかった。

 本開発では磁石メーカーと共同研究した耐熱性に優れたNd系磁石の採用や堅牢な磁石固定方法の開発、スーパーコンピューター解析応用技術(FEM等CAE)を取り入れた最適磁気回路の開発、及び耐熱性と熱伝導性に優れたエポキシモールド樹脂を注形したモールドモータステータの開発等により、小型化し、熱特性も大幅に向上させたモーターを実現した。

 また、そのサーボシステムは、ディジタル制御、及びIGBT-IPMの採用により、新ソフトアルゴリズムを適用し、広い制御範囲と、パワートランジスタ破損等の重故障の解消を実現した。

 それらにより、低電圧(DC180V)バッテリ一入力によるDCブラシレスモ一タとしては世界初の大容量サーボシステムを実用化できた。

 今までの研究開発で、75,000rpmの超高速DCブラシレスモータの可能性やステータをモールドし冷却特性を改善することによる小型化の可能性などの研究開発成果を学会等に発表してきた。今回この研究をさらに押し進め、電圧DC180Vのバッテリ電源による定格30kWのDCブラシレスサーボモータの開発・実用化に成功したものである。

 このモータは完全無人自動運転の蓄電池機関車に搭載され、東京湾横断道路のシールド工法トンネル用シールドセグメント及び資材運搬車として採用された。

 この蓄電池機関車は、モータの低負荷時や高負荷時にもスムーズな運転が可能になり、負荷の軽重及び線路勾配の有無にかかわらず、一定速度で走行できる特長を持つ。また、ディジタル制御により大電流が適切に制御可能となり、モータ効率の向上と回生制動による充電により、電池交換時期を長くすることが可能となった。

 今回のモータは短時間出力60kWが可能で、今後大型の無人搬送車(AGV)や電気自動車(EV)に適用が期待される。

  この種の大容量モータが実用化された例は、世界でも今回が初めてであり、電動機技術における画期的な開発と考えている。

 最後に、日経BP社刊「東京湾をつないだ男たち(支援)」の冒頭部分の抜粋で終わりたい。我々技術者にとって、現場の真の評価は何よりの勲章と思っている。

 「これだけの急勾配区間を安全に施工できたのはほかでもない、あのバッテリー機関車のおかげだ。」横断道路のトンネル工事を手がけたゼネコンの技術者たちは口々にこう語る。「過去の工事例から類推すれば、機関車の暴走による死亡事故が起きていても不思議はない」との声も。ところが暴走事故さえ1件も起きなかった。・・・

 本研究の成果に対して、電気学会は、1994年、仙波 実(高岳製作所)、上瀬 長弘(高岳製作所)、中村 寿亨(高岳製作所)に学術振興賞進歩賞を贈った。

文献

[1] 仙波実、武下誠、鈴木浩文、固定子にモールドを施したモータの研究、1992年、電気学会産業応用部門全国大会
[2] 上瀬長弘、加藤善彦、浅野真澄、大熊繁、ソフトウェアによる高速DCブラシレスモータの電流通電方式の切り替え制御、1992年、電気学会産業応用部門全国大会
[3] 仙波実、中村寿亨、鏡味慶一、モールドモータの漏れ電流に関する考察、1993年、電気関係学会東海支部連合大会
[4] 日経コンストラクション、東京湾をつないだ男たち、1997年、日経BP社刊1997

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