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光増幅機能素子

  • 写真なし佐々木 昭夫
光増幅機能素子のエネルギーバンド構造

図1 光増幅機能素子のエネルギーバンド構造

光増幅の実証テスト

図2 光増幅の実証テスト

光増幅機能素子の光増幅特性

図3 光増幅機能素子の光増幅特性

光双安定の実証

図4 光双安定の実証

光双安定特性

図5 光双安定特性

光増幅機能素子の光スイッチ特性

図6 光増幅機能素子の光スイッチ特性

光増幅機能素子の光一方向性

図7 光増幅機能素子の光一方向性

 3 極真空管、トランジスタのような増幅機能をもつデバイスの出現が、電子工学の誕生と、その後の大きな発展をもたらした。しかしながら、光電子工学(optoelectronics)では、発振器に相当するレーザが主要なデバイスとして開発されて来た。

 本光増幅機能素子は、光電子工学が大きく発展するには、(i)光増幅機能をもち、(ii)光信号が一方向に流れ、逆方向に流れる光強度が非常に弱いという光一方向性をもち、(iii)モノリシックな集積化の可能なデバイスが必要であると云う考えの基に、提案・実現された新しい光半導体デバイスである。この素子は、ホトトランジスタのトランジスタ増幅機能と発光ダイオードの発光機能を一つの素子に組み込むことにより、光増幅という新しい機能を実現したものである。こうした方法は、今後の新しい光素子の実現方法を提起するものとして高く評価されている。

 素子の構造は異種接合ホトトランジスタ二重異種接合発光ダイオードを半導体基板の片側の面に対して、縦方向多層構造に直接集積化したものである。この縦型直接集積法は、独創的な考えによるものであり、複数の半導体素子の直接集積により、光機能素子という一つの新しいデバイスを実現している。この集積方法は従来の光電子集積回路(optoelectronic integrated circuit, OEIC)に対して、光電子集積デバイス(optoelectronic integrated device, OEID)という新しい概念を与える端緒となっている.

 実験では、エピタキシャル法により、n 型InP 基板上に混晶半導体InGaAsP と化合物半導体InP の組合せによる多層結晶成長を行い、基板面と成長面に電極を付けて、光増幅機能素子を作製している。波長1μm 帯の光入力に対し、増大された光出力すなわち光増幅を得ている。また入力側から出力側へ出て行く光強度と、逆方向の光強度の比が十分大きい値を示し、このような増幅機能と共に、回路構成の際に必要な光一方向性を示す光素子は世界で初めてである。

 この光増幅機能素子において、光帰還という新手法を考案し、非線形動作である光励起スイッチと光双安定性の機能を可能にしている。光励起スイッチは、光入力信号が一定値以上の強度に達すると、素子そのものが自励発光する動作である。また光帰還率の少ないところでは、入力光と出力光で履歴現象あるいは光双安定が生ずる。従来の半導体素子における光双安定が、励起電流対出力光特性に見られるのに対して、本素子では入力光対出力光特性で見られ、また出力光が常に入力光より強く、出力光信号で次段素子が駆動できる等の特長も世界で初めてである。さらに、イメージ増倍等の画像処理、光センサへの応用も期待されている。

 以上のように、縦型直接集積という独創的な方法により、光増幅機能素子を提案・実現し、光増幅、光一方向性の機能を、またこの素子において光帰還という新手法を考案し、光励起スイッチ、光双安定性の機能を可能としたもので、その成果は新しい光素子の実現方法を提起すると共に、光電子工学の広い分野の進歩に寄与するところが極めて大きいものである。

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、1987年、佐々木 昭夫に業績賞を贈った。

文献

[1] A. Sasaki, S. Metavikul, M. Itoh, and Y. Takeda、Light-to-Light Transducers with Amplification、1988年、IEEE Trans. Electron Devices, Vol. 35, No. 6, pp.
780-786
[2] A. Sasaki, H. Yano, Sg. Fujita, and Y. Takeda、Integrated Optical Devices of InGaAsP/InP
Heterojunction Phototransistor and Inner Stripe
Light-Emitting Diode、1985年、J. Lightwave Tech. Vol. L T-3, No. 6, pp. 1264-1269
[3] A. Sasaki, M. Taneya, H. Yano, and Sg. Fujita、Optoelectronic Integrated Devices with Light
Amplification and Optical Bistability、1984年、IEEE Trans. Electron Devices Vol. ED-31, No. 6,
pp.805-811
[4] 佐々木昭夫、光増幅機能素子、1984年、応答物理、53巻、5号、頁427-431
[5] A. Sasaki and M. Kuzuhara、InGaAsP-InP Heterojunction Phototransistors and Light Amplifiers、1981年、Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 20, No. 4, pp. L283-L286

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電子・デバイス
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利根川進がノーベル医学・生理学賞を受賞する。

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キーワード

電子デバイス、光増幅、光双安定、光論理、光センサ、光スイッチング、光半導体デバイス、イメージ増倍、光電子集積デバイス、光電子集積回路
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