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世界初の800kVガス絶縁開閉装置の実用化

  • 写真なし尾崎 康夫
  • 写真なし村山 康文
  • 写真なし柳父 悟
800kVガス絶縁開閉装置

写真1 800kVガス絶縁開閉装置

800kVガス遮断器の全点遮断試験

写真2 800kVガス遮断器の全点遮断試験

有害なタンク内金属異物を調べる超音波測定

写真3 有害なタンク内金属異物を調べる超音波測定

800kVガス遮断器の断面

図1 800kVガス遮断器の断面

800kVガス絶縁開閉装置の主要定格

表1 800kVガス絶縁開閉装置の主要定格

 ガス絶縁開閉装置(GIS)は電力設備用開閉装置の一種であり、六フッ化硫黄ガスを絶縁媒体と電流消弧媒体として使用したことで、高圧力の空気や絶縁油を用いた開閉装置に比べて、極端に縮小化できる特長を有する。このため、変電所の用地取得難に悩むわが国では、1970年代から急速に適用が拡大し、わが国は世界で最大のGIS採用率になっている。

 わが国におけるGISの適用は、72/84kVの系統から始まり、順次高電圧へと拡大され、最高運転電圧である550kVの商用系統まで及んでいる。技術開発は既に1100kV(UHV)まで完了しており、東京電力(株)の新榛名UHV試験所に納められたGISは、10年以上の実証試験を続けている。

 800kVのGIS変電所を建設するというプロジェクトは、南アフリカ共和国のエスコム電力庁(ESKOM)から1982年に打診された。当時、わが国でも第1次UHV計画で遮断器や避雷器などの技術開発が行われており、そこで使われた技術を800kVに適用することでプロジェクトに臨んだ。

 ESKOMは、広大な土地を電力輸送するために800kVの送電線を計画したが、殆どが海抜1500m以上の高地を通ることになる。そのため気圧が低くなり、碍子型絶縁機器では沿面距離が長大となるため、コスト面でGISの方が有利と判断された。当時は、800kV系統ではまだGISの商用器はなく、碍子型機器が標準の時代であった。2箇所の変電所(アルファ変電所とベータ変電所)が計画され、評価の結果、最終的にアルファ変電所を当時のBBC社、ベータ変電所を(株)東芝が受注して、このプロジェクトは日欧の技術コンクールの様相を呈した。

 当時ESKOMは世界の最先端技術を適用するという強い意志を持っており、仕様は全て高度な技術検討と打ち合わせにより決定された。以下に代表的な技術を示す。4点切タンク形遮断器の全点遮断試験と等価な、主回路とタンク間に過渡回復電圧を印加する試験(写真2)。断路器が進み小電流を遮断した時に、再点弧による高周波サージ電圧が発生してもタンクに地絡しないことを確認する為、接点が最大開離度の位置で常に最大のサージ電圧を印加する多数回試験。フルスケールの酸化亜鉛形避雷器を用いて、高周波電流に対する電圧—電流特性を把握したことと、結果をEMTPによる絶縁協調解析プログラムへ反映させたこと。変電所の制御監視に光ファイバを用いたデジタル制御を適用したこと。GISの主要機器にオンライン外部診断システムを適用したこと。地絡箇所標定システムを採用し、GIS部分の地絡時には遮断器を再閉路させないこと。このように、現時点では世界の標準になるアイデアが当時の仕様に盛り込まれた。

 南アフリカは名だたる雷多発国であり、雷撃電流も250-300kAという高いレベルである。今では標準となっているEMTPを用いた鉄塔逆閃絡でのサージ計算手法をいち早く適用して、当時主流であったランプ波の印加という計算方法と徹底的な比較論議を行った。

 初めて変電所にデジタル制御技術を適用するため、開閉時の電気ノイズを軽減することを目的に、50mmという従来の変電所と比べてはるかに広い幅の銅帯で接地メッシュを構成した。

現地で種々の開閉試験を行い、断路器サージ、分路リアクトル開閉時の再発弧サージ、高周波消弧現象などの貴重な実測データを得た。

 このプロジェクトで実証された高電圧GISの技術は、その後の技術開発にも発展適用され、500kV以下におけるGISの技術進歩や、第2期UHV機器開発に応用された。

 本研究の成果に対して、電気学会は、1988年、尾崎 康夫(当時(株)東芝)、村山 康文(当時(株)東芝)、柳父 悟(当時(株)東芝)に電気学術振興賞(進歩賞)を贈った。

文献

[1] H. Toda, Y. Ozaki, I. Miwa, S. Nishiwaki, Y. Murayama, S. Yanabu、Development of 800kV Gas-insulated Switchgear、1992年、IEEE Trans. PWRD, Vol.7, No.1, pp.316-323, 1992
[2] Y. Murayama, N. Kobayashi, S. Nishiwaki, T. Yokota, M. Inaba, S. Yanabu、800kV GIS Design and Field Measurement for Transient Overvoltage、1993年、8th International Symposium on High Voltage Engineering, pp. 355-358, 1993
[3] S. Yanabu, M. Oishi, Y. Ozaki, Y. Murayama、Development of UHV Gas Circuit Breaker and Disconnecting Switch and Their Performance Test、1985年、CIGRE Symposium S 06-85, Brussels, 1985
[4] S. Yanabu, Y. Ozaki, M. Oishi, Y. Murayama、New Development of 800kV Gas Insulated Switchgear Development of 800kV Gas Insulated Switchgear、1984年、Toshiba Review, Vol.39-8, pp. 709-712, 1984

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ガス絶縁開閉装置、六フッ化硫黄ガス、800kV、南アフリカ、ベータ変電所、開閉保護装置、送電、電力系統、変電
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