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プラズマ中のアンテナと電磁放射に関する研究

  • 写真なし安達 三郎
異方性プラズ マ中のダイポールアンテナに沿う電流の伝搬定数

図1 異方性プラズ マ中のダイポールアンテナに沿う電流の伝搬定数

電子プラズマ波に対するダイポールアンテナの指向性

図2 電子プラズマ波に対するダイポールアンテナの指向性

伝送線路近似による異方性プラズマ中のダイポールアンテナの入力インピーダンス

図3 伝送線路近似による異方性プラズマ中のダイポールアンテナの入力インピーダンス

 実験室プラズマや宇宙空間プラズマのプラズマパラメータの計測、プラズマ中に存在する電磁波動の計測や、これら波動の励起などに種々のアンテナが用いられる。また、プラズマと強く結合する周波数領域でアンテナが通信のために用いられる場合も少なくない。更に最近では、核融合プラズマの高周波加熱のために、大電力を放射注入するアンテナの開発が緊急の課題となっている。

 本研究では1960年代から、プラズマ中のアンテナと電磁波動の放射、伝搬、受波の基礎的な研究に取り組み、多くの優れた成果を挙げ、この方面の科学と技術の発展に貢献した。

 本研究では、プラズマ中におかれた無限長導線に対し、任意の傾きで静磁界が印加された場合、導線に沿って伝搬する電磁波(これは一般に複素波となる)の性質について理論的に解析した。これは、線状アンテナに沿う電流分布を決定する際の理論的な根拠となるものである。次に、大型真空室中に生成した大容積磁気プラズマ中に線状モノポールアンテナを設置してその電流分布を実測し、これらの結果が前述の理論でほぼ説明できることを世界に先駆けて明らかにした。これらの成果は海外において大いに注目され、数多くの文献に引用されている。更に、本研究では、この理論を基に、磁気プラズマ中に置かれた線状アンテナの入力インピーダンスを求めるための伝送線路理論を創案し、これを実際の各種アンテナに適用することにより入力インピーダンスにおける新しい共振現象を発見した。これは後に実験的に検証された。

 プラズマ中には、いわゆる電磁波のほかに各種のプラズマ波動が存在する。本研究ではプラズマ中のアンテナから放射される電子プラズマ波の指向性を初めて測定した。更に、アンテナの放射特性と受波特性の間の関係を明らかにするために、プラズマ中の波源と電磁界に関する可逆性を理論的に詳細に検討し、等方性多流体圧縮性プラズマに関して可逆性が厳密に成立することを初めて明らかにすると共に、個々の波動についてより実用的な可逆関係式を与えた。これによって、電子プラズマ波やイオン音波に対するアンテナの受波能率、指向性、インピーダンスの諸特性が明らかとなり、これらの波動の定量計測法が確立されるに至った。

 本研究では、近年重要な研究課題となっている核融合プラズマの高周波(特にイオンサイクロトロン周波数近傍)加熱に用いられるアンテナの研究を行っており、不均質異方性プラズマとアンテナとの結合やファラデーシールドの効果に関して新しい知見を与えるなど、理論の発展と大電力有効注入に適したアンテナの開発に貢献した。

 上述したように、本研究では、永年にわたってプラズマ中のアンテナと電磁波動の放射・受波特性に関して基礎的な研究を行い、数々の先駆的な成果をあげており、この分野の研究の進歩に貢献した業績は真に顕著である。

電子情報通信学会アンテナ・伝播研究専門委員会編集

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、1987年、安達 三郎に業績賞を贈った。

文献

[1] 石曽根孝之,安達三郎,虫明康人、任意方向に磁化した異方性プラズ マ中の無限長導線に沿う電磁波の伝搬定数、1971年、電子通信学会論文誌B, vol.54-B, no.7
[2] 石曽根 孝之,澤谷 邦男,安達 三郎,虫明 康人、ダイポ-ルアンテナの電子プラズマ波に対する送受信指向性の測定、1974年、電子通信学会論文誌B, vol.57-B, no.2
[3] 安達三郎,石曽根孝之,虫明康人、磁気プラズマ中のアンテナと伝送線路の類推について、1972年、電子通信学会論文誌B, vol.55-B, no.9
[4] 石曽根 孝之,安達 三郎,虫明 康人、プラズマ波に関する可逆性とアンテナ受信電圧、1974年、電子通信学会論文誌, vol.57-B, no.2
[5] Takayuki Ishizone, Saburo Adachi, and Yasuto Mushiake、Reciprocity Relations in an Isotropic Compressible Multifluid Plasma、1976年、J. Appl. Phys., vol.47, no.7
[6] Saburo Adachi, Takayuki Ishizone, and Yasuto Mushiake、Transmission Line Theory of Antenna Impedance in a Magnetoplasma、1977年、Radio Science, vol.12, no.1, pp. 23-31, Jan.-Feb.
[7] Saburo Adachi and Shigeo Ohnuki、Failure of Homogeneous Multilayer Approximation for Transversely Nonuniform Plasma Waveguides、1982年、Radio Science, vol.17, no.3
[8] Kunio Sawaya and Saburo Adachi、Analysis of Aperture Antenna Attached to Cutoff Cavity for ICRF Plasma Heating、1986年、Space Power, vol.6
[9] Shigeo Ohnuki, Kunio Sawaya, and Saburo Adachi、Impedance of a Large Circular Loop Antenna in a Magnetoplasma、1986年、IEEE Trans. Antennas Propagat., vol.AP-34, no.8
[10] Yuji Sato, Kunio Sawaya, and Saburo Adachi、Faraday Shield Effects on a Half-Turn Loop Antenna Used for ICRF Plasma Heating、1988年、IEEE Trans. Plasma Sci., vol.16, no.5
[11] Akihiko Nojima, Kunio Sawaya, and Saburo Adachi、Two-Dimensional Finite-Element Method Analysis of Various Antennas for ICRF Plasma Heating、1989年、IEEE Trans. Plasma Sci., vol.17, no.6

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キーワード

アンテナ・伝播、宇宙プラズマ、核融合プラズマ、プラズマ波動、放射・受波、プラズマ加熱、電流分布、可逆性
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