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通信衛星搭載複モードホーンアンテナ

  • 写真なし武市 吉博
  • 写真なし水澤 丕雄
  • 写真なし片木 孝至
インテルサットⅤ号搭載用複モードホーンアンテナ

図1 インテルサットⅤ号搭載用複モードホーンアンテナ

インテルサットⅤ号搭載用複モードホーンアンテナの放射パターン

図2 インテルサットⅤ号搭載用複モードホーンアンテナの放射パターン

インテルサットⅤ号搭載用複モードホーンアンテナの楕円偏波率

表1 インテルサットⅤ号搭載用複モードホーンアンテナの楕円偏波率

 国際衛星通信は昭和50年代に入ると通信容量がますます増大し、これに対処するために周波数の有効利用が叫ばれるようになった。このためインテルサットⅤ号衛星系からは、直交する2つの円偏波を使って同一の周波数を別々の通信に利用する、いわゆる直交偏波共用による周波数再利用方式が導入されることになった。この方式では2つの円偏波による通信が互いに混信しないように、それぞれの円偏波が他の偏波成分(交差偏波成分)を含まないようにする必要がある。したがって、衛星搭載用アンテナおよび地球局アンテナには楕円偏波率の小さなアンテナが要求された。特に、衛星搭載用のアースカバレッジアンテナには、地球局用アンテナの楕円偏波率を正確に評価するため、極めて低い楕円偏波率を持つアンテナが必要とされた。

 楕円偏波率の小さい、すなわち交差偏波成分の少ないアンテナとして従来から複モードホーンアンテナがあった。このアンテナは円形導波管のTE11モードおよびTM11モードの2つのモードを用いることによって不要な交差偏波成分を打ち消すようにしたアンテナである。ここで2つのモードの比率をいかに決めるかが問題となる。従来、ホーン開口上の電界分布に着目し、対称性を持つように決定していたが、基準があいまいであった。そこで本アンテナの開発に当たって各モードの放射パターンに着目し、所要の放射特性を最も良く実現するように両モードの比率を決定する設計方法を取り入れた。また周波数特性を向上するために、フレアアイリス形の複モードホーンを提案した。このアンテナは、円錐ホーン、2枚のアイリスを持つモード変換部、テーパ状のフレア部から構成される。TM11モードの発生に寄与するアイリス部およびフレア部の寸法を、TM11モード発生量の周波数特性が0となるように決定する設計方法を創案した。

 低い楕円偏波率のアンテナを開発するためには、精度良く楕円偏波率を測定することが必要である。本アンテナの開発に当たって、アンテナをそのホーンの軸を中心にして回転しながら、楕円偏波率の大きさと楕円の長軸の傾きを測定し、そのデータを処理することにより、楕円偏波率に寄与する要因別にその大きさを求める方法を提案した。この方法により、アンテナの各部分で発生する交差偏波成分を知ることができ、各部分の設計に反映することが可能になった。

 これらの設計法、測定法に基くフレアアイリス形複モードホーンアンテナは、インテルサットⅤ号衛星搭載用アースカバレッジアンテナとして提案、採用され、静止軌道から地球を見込む22 のカバレッジ内の楕円偏波率が0.3dB以下という極めて優れた性能が実現された。またこのアンテナは設計から製造まで全て我が国で行われ、世界に我が国の技術の優秀性を示した。

電子情報通信学会研究アンテナ・伝播研究専門委員会編集

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、1986年、武市 吉博、水澤 丕雄、片木 孝至に業績賞を贈った。

文献

[1] 蛭子井貴、片木孝至、水澤丕雄、フレア・アイリス形複モードホーンアンテナ、1979年、信学論, Vol.J62-B, No.12
[2] 蛭子井貴、片木孝至、円錐ホーンアンテナの楕円偏波率の要因別測定法、1981年、信学論, Vol.J64-B, No.12
[3] 蛭子井貴、片木孝至、高能率複モードホーンアンテナ、1982年、信学論, Vol.65-B, No.5
[4] 近藤五郎、川端俊一郎、小林右治、赤尾洋、片木孝至、インテルサットⅤ6/4GHz帯直交偏波共用ホーンアンテナ、1981年、三菱電機技報,Vol.55,No.12,pp.825-828
[5] 川端俊一郎、小林右治、赤尾洋、片木孝至、蛭子井貴、インテルサットⅤ6/4GHz帯直交偏波共用ホーンアンテナ、1981年、信学技報、Vol.81,A・P81-116,pp.55-60

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キーワード

アンテナ・伝播、衛星通信、無線通信システム、マイクロ波、電磁界理論
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