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アレーアンテナの設計に関する研究

  • 写真なし関口 利男
  • 写真なし後藤 尚久
  • 写真なし稲垣 直樹
ICTにより設計した低サイドローブ円形アレーアンテナ

図1 ICTにより設計した低サイドローブ円形アレーアンテナ

 多数の半波長ダイポールやスロットで構成するアレーアンテナの歴史は古いが、これをレーダや通信に応用する場合には電波干渉の除去や開口能率の向上のため所望の指向性をもつアレーアンテナの設計法の確立が重要な問題となる。そのためには、まずアレーアンテナの解析によってその特性を把握しなければならないが、解析にあたってはコンピュータを利用した設計に適する手法であることが実用上では重要である。

 本研究では早くからこの点に着目し、ダイポールを素子とするアレーアンテナの特性解析にICT(Improved Circuit Theory)と呼ばれ、現在でもアレーアンテナの設計に広く使用されている方法を提案した。ICT はそれまでのアレーアンテナの唯一の解析手法であった起電力法を改良し、電流分布が給電電圧の組み合わせの変化に呼応して素子間結合に基づき変化するとする動的理論である。ICTの出現とほぼ時を同じくして導入され現在広く用いられているモーメント法の一種とみなすことができる。電流分布が変化しない静的理論の起電力法の僅かな変更により、積分方程式を厳密に解くのと同等の数値解析精度が得られること、アレーアンテナの解析にとどまらず通常のモーメント法では困難な動的理論による設計を初めて可能とするなど、極めて高い評価を得ている。

 レーダに用いられる導波管スロットアレーアンテナでは経験的手法により現在ではサイドローブレベルが約-30dBのアンテナが得られているが、妨害波の除去等の目的のため更に低いサイドローブレベルが要求される場合には経験的手法では困難である。そこで、導波管スロットアレーアンテナの解析にICTを応用してその特性を把握すると共に、スロット間の相互結合を考慮したときのスロットの等価アドミタンスを定式化してコンピュータを利用した設計に適した設計手法を確立した。

 航空機のマイクロ波着陸援助装置等に用いられる導波管スロットアンテナはコセカントビームが要求されるが、成形ビームにすることによって放射効率が低下する。本研究では、この設計に非線形計画法を応用し最適設計することによって放射効率を改善し、従来困難であった固体発振器の使用が容易になることを示した。更に、放射ビームを電子的に赤査するフェーズドアレーアンテナにはディジタル移相器が用いられ、量子化位相誤差による量子化ローブが従来から問題になっているが、このローブの抑圧には非線形計画法の一種である多段階決定法が最も効果的であることを明らかにした。

 以上のように、多数の素子で構成するアレーアンテナの設計に対して、これらの一連の基礎的な研究が大いに貢献した。

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、1983年、関口 利男、後藤 尚久、稲垣 直樹に業績賞を贈った。

文献

[1] Naoki Inagaki、An Improved Circuit Theory of a Multielement Antenna、1969年、IEEE Trans. Antennas Propagat., Vol.AP-17, No.2(1969).
[2] Naoki Inagaki, Toshio Sekiguchi, Kiyoshi Nagai、Exact Design of an Array of Dipole Antennas Giving the Prescribed Radiation Patterns、1971年、IEEE Trans. Antennas Propagat., Vol.AP-19, No.1(1971).
[3] 稲垣直樹,関口利男、線状アンテナを素子とするアレイの指向性利得を最大にする厳密な設計、1970年、電子通信学会論文誌, Vol.J53-B, No.11, pp.687-692(1970).
[4] 稲垣直樹,関口利男、ダイポールアンテナ列による指向性合成の厳密な理論、1970年、電子通信学会論文誌, Vol.J53-B, No.9, pp.552-559(1970).
[5] Naohisa Goto、A synthesis of array antennas for high directivity and low sidelobes、1972年、IEEE Trans. Antennas Propagat., vol. 20, pp. 427 - 431(1972).
[6] 稲垣直樹,関口利男、二本線形導波構造のアンテナ理論による解析と特性、1973年、電子情報通信学会論文誌,56-B 巻, 11号(1973).
[7] N. Goto, F. Watanabe, T. Sekiguch、The Optimum Directivity of Array Antennas with a Specified Sidelobe Level、1977年、The Transaction of the IECE of Japan, Vol.E60, No.8, pp.399-402(1977).
[8] Fumio Watanabe, Naohisa Goto, Akira Nagayama, Goro Yoshida、A synthesis of circular arrays by taking account of the excitation circuit、1979年、1979 IEEE Int. Antennas Propagat. Symp. Dig. vol. 17, pp. 42 - 45(1979).
[9] Fumio Watanabe, Naohisa Goto, Akira Nagayama, Goro Yoshida、A Pattern Synthesis of Circular Arrays by Phase Adjustment、1980年、IEEE Trans. Antennas Propagat., Vol.AP-28, No.6(1980).
[10] 原泰彦,後藤尚久、線形計画法による導波管スロットアレイアンテナの指向性合成、1983年、電子通信学会論文誌, Vol.J66-B, No.7, pp.877-884(1983).

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