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部分スイッチング方式によるエアコン用高力率インバータの開発

  • 写真なし金澤 秀俊
  • 写真なし植杉 通可
  • 写真なし宮崎 浩
エアコン用インバータ装置(世界初1981年製と2000年製)

図1 エアコン用インバータ装置(世界初1981年製と2000年製)

エアコン用室外機カットモデル

図2 エアコン用室外機カットモデル

部分スイッチング方式による高力率回路の回路構成

図3 部分スイッチング方式による高力率回路の回路構成

力率改善の入力電流波形とスイッチング波形

図4 力率改善の入力電流波形とスイッチング波形

電源力率改善方式(高力率方式)の比較

表1 電源力率改善方式(高力率方式)の比較

 1981年に東芝(現:東芝キヤリア)が世界で初めてインバータ装置(以下インバータと略)を搭載した能力可変制御の家庭用エアコンを製品化した。 図1に示すように、当時のインバータはまだ大きく、構成部品であるパワー半導体もディスクリート半導体であり、PWM波形合成もカスタムLSIで構成されていた。 2000年現在は、半導体の技術革新に牽引され、パワー素子の1モジュール化、波形合成の1チップマイコン化等により、インバータの大幅な小型化が成し得ている。


 エアコン用インバータは、圧縮機(コンプレッサー)に内蔵しているモータの可変速を行っている。モータは1995年くらいまでは誘導電動機が主流であったが、最近は省エネの要求が高まり、より高効率である磁石内蔵のブラシレスDCモータ(パーマネントモータ)を採用している。インバータは、図2に示すようにエアコン室外機の右上部に実装している。


 1996年頃から省エネ、高暖房能力、新冷媒など、エアコンに対する要求は「環境」をキーワードに益々高くなってきた。更に家電製品におけるインバータ化が進み、電磁環境的な面からもEMI規制、電源高調波対応がインバータ搭載機器に求められ始めた。


 上記問題に対応するため、エアコン業界では、電源力率を高める事で対応を進めた。当初は、「アクティブ方式(PAM方式)」のインバータを多くのメーカが採用し、電源力率99%を達成した。しかしこの方式は、高周波チョッパ制御を行っておりスイッチング周波数が20kHzと極めて高いものであり、これに起因する効率の低下や、電磁ノイズ発生を抑制するために多数の追加部品を必要とされた。そのためコスト面等から広く民生機器一般に普及することは難しいと考えられ、新しい技術開発が望まれていた。(表1


 東芝は、1998年に従来の受動素子のみで構成されるパッシブ方式インバータの長所(スイッチング回数が少ないためノイズが少ない)とアクティブ方式インバータの長所(電源波形に近づき力率が向上)とを組み合わせた「部分スイッチングによる力率改善方式」を開発した。この方法は、パッシブ方式の単相倍電圧整流回路と並列にダイオードブリッジとスイッチング素子を追加した簡単な構成である。 エアコンの特徴に合わせ、入力パワーが最大の時に電源力率をアクティブ方式並みの99%を実現した。回路構成を図3、入力電流波形を図4に示す。


 本制御方法の理論と付随して発生するリアクトルの騒音低減技術を、電気学会論文誌(Vol.119-D、No5、May、1999)で詳細に示している。(参考文献リスト(1))


 2005年現在、部分スイッチング方式によるインバータは、東芝エアコン「大清快」等のみならず、日本のほぼ全てエアコンメーカがインバータ高力率制御方法として採用される基本技術になった。

 本研究の成果に対して、電気学会は、2000年、金澤 秀俊、植杉 通可、宮崎 浩に電気学術振興賞進歩賞を贈った。

文献

[1] 植杉通可,金澤秀俊,蛭間淳之,宮崎浩,神戸崇幸、力率改善型エアコン用単相倍電圧コンバータ回路、1999年、電気学会論文誌D,平成11年5月号
[2] 井川進吾、他、単相高力率コンバータのインバータエアコンへの応用、1998年、H10 電気学会全国大会
[3] 金澤秀俊、内田正、山梨泰、新間康博、エアコンにおける省エネ技術の実際、1999年、パワーエレクトロニクス研究会 第14回専門講習会

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1998年
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キーワード

エアコン、インバータ、高力率、部分スイッチング方式、PAM、パワーエレクトロニクス
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