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高速高密度交流電気鉄道用保護継電システムの開発

  • 写真なし持永 芳文
  • 写真なし土屋 忠巳
  • 写真なし前川 紘毅
  • 写真なし福田 和宜
  • 写真なし尾田 重遠
ATき電回路と保護継電器

図1 ATき電回路と保護継電器

ディジタル保護継電器の構成図

図2 ディジタル保護継電器の構成図

交流き電線保護継電器の標準ブロック図

図3 交流き電線保護継電器の標準ブロック図

システムアナライザ画面

図4 システムアナライザ画面

インピーダンス軌跡図の例

図5 インピーダンス軌跡図の例

交流き電線保護継電器の外観(開発当初)

図6 交流き電線保護継電器の外観(開発当初)

交流き電線保護継電器の外観(新シリーズ)

図7 交流き電線保護継電器の外観(新シリーズ)

交流き電線保護継電器の外観(新シリーズ)拡大図

図8 交流き電線保護継電器の外観(新シリーズ)拡大図

交流き電線保護継電器の外観(開発当初)

図9 交流き電線保護継電器の外観(開発当初)

交流き電線保護継電器の外観(現在の保護継電器)

図10 交流き電線保護継電器の外観(現在の保護継電器)

 我が国の幹線電気鉄道では、交流き電方式が用いられている。き電回路で車両故障や架線故障が発生した場合、速やかに検出して回路を遮断することが重要である(図1)。しかし、インバータ駆動方式による鉄道の高速・高密度化により、負荷電流が大きくなり故障電流の大きさに著しい差がなく、距離継電器による故障検出に余裕がなくなっており、新しい原理に基づく保護方式の開発が求められた。

 一方、ディジタル技術、マイクロコンピュータ技術の発展により、保護継電器(protection relay)もディジタル化がはかられ高機能、高性能の継電器が実現可能となった(図2)。そこで、電気鉄道負荷特性と故障現象の解析を行い、それに基づき、新しいディジタル形距離継電器を開発した。同継電器は負荷電流の高調波特性を利用して、保護領域を負荷では小さく故障では大きくして、負荷で不要動作しない方式である。

 図3にブロック図を示す。距離要素(44F)は3種類あり、き電回路の保護上必要な大領域(X1,R1)、負荷で不要動作しない小領域(X3,R3)を設け、整定した入力(き電)電流の高調波含有率により領域を切り替えている。また、故障時の電圧低下検出(UV)および後述する50FV要素によっても大領域に切り替える方式とした。そして負荷接近警報領域(X2,R2)を設け、負荷領域が距離継電器の保護領域(小領域)に接近した場合には警報を行うことにした。

 さらに、動作原理が異なり電流の立上り変化の違いにより故障を検出する、交流ディジタル形ΔI形継電器を組み合わせて二重系として保護能力の向上を図った。

 ΔI形継電器は、負荷電流に対して高調波電流の含有率により基本波電流の抑制を行い、故障電流の変化分を大きく見ており、交流電気鉄道として初めてディジタル形ΔI形継電器を完成した。このΔI形継電器は、電流の変化分(絶対値)を検出する方式(50F)と、ベクトル的に電流の変化を検出する方式(50FV)を採用している。50FV要素は、PWM制御車の負荷電流中の高調波電流が小さいので、十分な基本波電流の抑制が出来ないため、負荷電流と故障電流の位相角の違いで検出するようにした要素である。

 また、故障解析が容易なように、故障時の電圧、電流値を表示できるようにしてある。更に、電圧・電流波形、インピーダンス軌跡、ベクトル図の各種表示、高調波含有率、継電器応動、シーケンス回路応動、タイムチャート等の解析が可能なシステムアナライザも適用し、システム応動のビジュアル化をはかっている(図4図5)。

 また、ディジタル方式にすることにより、自己診断機能・トロリ線温度監視および負荷の増加の警報などが可能になり、総合的信頼性が向上した。

 図6図7図8図9図10に、ディジタル形保護継電器(digital protection relay)の外観の例を示す。

 以上のように、最近のディジタル技術の応用により、上述した高度な機能の実現が可能になり、新しい考えに基づく保護継電方式の実用化を図り、高速大容量電気車の運行を可能にした。最近の交流電気鉄道の設備更新や新設される新幹線の変電所などでは、全て本保護方式を採用しており、保護方式の基本となっている。

 本研究の成果に対して、電気学会は、1994年、持永 芳文、土屋 忠巳、前川 紘毅、福田 和宜、尾田 重遠に電気学術振興賞進歩賞を贈った。

文献

[1] 持永芳文,久水泰司,津金利雄,大久保清孝,
福田和宜,尾田重遠、交流き電回路用デジタル形保護継電器の開発、1991年、電気学会 交通・電気鉄道研究会 TER-91-37
[2] 持永芳文,久水泰司,大久保清孝,尾田重遠,
久場英二,蓮池公紀、交流電気鉄道用保護領域切替形距離継電器の開発、1993年、電気学会 論文誌B,第113巻4号
[3] 電気学会 交流電気鉄道における保護技術調査専門委員会、交流電気鉄道における保護技術(5.2 き電回路の保護継電方式)、1996年、電気学会技術報告書 第610号
[4] 持永芳文、き電回路保護装置と保護協調、1996年、日本鉄道電気技術協会
鉄道と電気技術 第07巻7号
[5] 電気学会 電気鉄道に関する教育調査専門委員会(委員長 持永芳文)、最近電気鉄道工学(6.5.4 き電回路の保護協調)、2000年、コロナ社
[6] 上村修、電気鉄道の要素技術 保護リレー、2002年、日本鉄道電気技術協会
鉄道と電気技術 第13巻7号
[7] 安居裕一、ディジタル型保護継電器、2002年、日本鉄道電気技術協会
鉄道と電気技術 第13巻8号

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キーワード

保護継電方式、交流電気鉄道、距離継電器、保護領域、ディジタル保護継電器、交流き電、開閉保護装置、電気鉄道
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