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国鉄・浮上式(リニアモータ式)鉄道における電力供給制御システムの開発

  • 写真なし前川 典生
  • 写真なし中村 清
  • 写真なし木村 光夫
  • 写真なし福本 紀久男
宮崎実験線での走行試験風景

写真1 宮崎実験線での走行試験風景

宮崎実験線の変電所

写真2 宮崎実験線の変電所

サイクロコンバータ(1系統分)

写真3 サイクロコンバータ(1系統分)

宮崎実験線の給電システム

図1 宮崎実験線の給電システム

宮崎実験線の駆動システム

図2 宮崎実験線の駆動システム

走行ランカーブ

図3 走行ランカーブ

 東京~大阪間を約1時間で結ぶ新しい鉄道として、日本国有鉄道(現JR)は「超電導磁気浮上式鉄道」の開発を進めてきた。これは車上の超電導磁石と地上のコイルに誘導される電流との間に働く電磁力によって、車両を浮上・案内する方式である。また推進は、この超電導磁石を界磁とした地上一次方式のリニア同期モータ(LSM)で行う。超高速で走行させるので所要電力が大きく、また同期モータであるため、車上界磁の位置に同期した可変振幅・可変周波数の電力を地上のLSM電機子コイルに供給する必要がある。

 超高速で走行する地上一次LSMに大電力を供給するため、鉄道技術研究所(現鉄道総合技術研究所)は、基本技術となる給電システムや電力変換器などの開発を進め、宮崎実験線に設けた大規模なシステムで検証を行った。この電力供給制御システムの特徴は、以下のとおり。
(1) 給電システム
 車上に超電導磁石を搭載し、地上に電機子コイル(推進コイル)を敷設して、変電所に設置した電力変換器から推進コイルに給電して車両を駆動する。適当な長さに電気的に区分された推進コイルには、車両の移動に応じて給電する必要があるが、全線の推進コイル区間を2系統に分け、車両の位置を検知してこれに対向する推進コイル区間に順次給電する方式(二重き電給電方式)を開発した。
(2) 位相同期制御
 同期電動機やLSMでは、駆動電流に対する界磁の位相ずれが限度を超えると、出力トルクが減少して正常運転ができず脱調を発生する。そこで車上界磁の位置(速度起電力の位相)に同期した可変周波数電流を推進コイルに通電する位相同期制御(余裕角制御)機能を新たに開発した。そのため界磁、つまり車両の位置を検知する必要があり、宮崎実験線では推進コイルと同じ周期でガイドウェイ上に反射板を取り付け、車上の光学センサで反射板を検知して地上の変電所に伝送し、電流位相を決定することにした。位置信号は離散時間信号となり、かつ誤差やノイズ、伝送遅れなどが含まれるため、それらを補完する制御システムの開発が走行試験と並行して行われた。
(3) サイクロコンバータ
 駆動電源としては、10MVA-0~34Hz-1100A定格の、非循環電流方式のサイクロコンバータを採用した。出力電流の正極性では正群コンバータ(正方向のサイリスタ)、負極性では負群コンバータ(負方向のサイリスタ)を動作させるので、短絡防止のために正負群の切替え時に電流休止期間を設けた。位相同期制御機能からの信号を用いて、電流休止制御の高性能化を図った。サイクロコンバータは入力力率が低く、出力周波数も入力周波数の1/3程度なので、電源側に電動発電機(M-G)を設けている。

 写真1は宮崎実験線での走行試験風景、写真2は変電所の全景、写真3はサイクロコンバータの外形である。また図1は給電システムの構成、図2は駆動システムの構成、図3は1979年12月21日、最高速度517km/h(無人走行での鉄道世界最高速度)を記録したときの走行ランカーブである。

 本研究の成果に対して、電気学会は、1980年、これら一連の開発研究を推進した前川 典生、中村 清、木村 光夫、福本 紀久男に電気学術振興賞進歩賞を贈った。

文献

[1] 西條隆繁、リニアモータ用サイクロコンバータの電流制御特性、1978年、電気学会論文誌B,98B巻,3号
[2] 西條隆繁、鉄道用同期形リニアモータのセクション切替の検討、1978年、電気学会論文誌B,98B巻,6号
[3] 宮崎邦夫、井上 等、前川典生、超電導磁気浮上式鉄道、1979年、電気学会雑誌,99巻,9号
[4] 西條隆繁,池田春男,小池茂喜,中村 清、宮崎実験線サイクロコンバータの超高速域での特性改善(その1)、1980年、第17回鉄道におけるサイバネティクス利用国内シンポジウム,903
[5] 西條隆繁,池田春男,多田隈進,逢坂 亨,井野口晴久、宮崎実験線サイクロコンバータの超高速域での特性改善(その2)、1980年、第17回鉄道におけるサイバネティクス利用国内シンポジウム,904
[6] 西條隆繁,池田春男,田村吉章,逢坂 亨,伊藤健治、超電導磁気浮上式鉄道宮崎実験線用変電所データロガシステム、1980年、東芝レビュー,35巻,13号

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1980
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データなし

キーワード

磁気浮上式鉄道、宮崎実験線、サイクロコンバータ、電気鉄道、超伝導・超電導、パワーエレクトロニクス、リニアドライブ
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